One day


今日は俺も臨也も仕事が休みだ。
そのため昨日は何度も臨也を抱いた。
まだ細い身体を丸めて眠る臨也を後ろから抱き込む。
少しだけ身じろぐものの目を覚ます様子はない。
すん、と臨也の項あたりの匂いを嗅ぐ。
汗と俺の煙草の匂いとちょっと甘い匂いがする。
このまま幸せに浸っていたいが俺にはやらなければいけないことがある。
朝食(と言う名の昼食)の準備と洗濯だ。
普段は臨也がやってくれていることだがSEXした次の日は違う。
抱かれる側の方が色々としんどいのは知っている、だからそういう次の日は決まって俺がやる。
名残惜しいがそっとベッドを抜け出して昨日脱ぎ散らかした服を拾い集める。
それを洗濯機にぶち込んで、俺はシャワーを浴びる。
それからご飯作り。簡単なものしか作れないから今日はフレンチトーストだ。
卵に浸して焼けばいいだけだから楽なんだな、これが。
臨也は大体和食、それこそだし巻きとかシャケとかおひたしとかを作ってくれるが俺にはこれが限界。
ここで洗濯機が終了の音を鳴らす。

ベランダに出て洗濯物を干す。
今日はよく晴れていて、これならすぐに乾きそうだ。

やることを一通り終わらせもう一度寝室を覗く。
さっきから体勢が変わっていないからまだ寝ている。
けど起こさないで先に飯を食べると拗ねるからいつも起こすようにしている。

「臨也、朝だ、起きろ。」

「んー・・・。」

もぞもぞと布団を被った。
臨也の寝起きはいいとは言えない。
それに昨日無理をさせた分、寝かせてやりたいとも思うから余計強く起こせないのだ。

「臨也。飯食うんだろ、起きろ。」

「起きたくても起きれないんだよ、コノヤロー。」

顔をちょっとだけ覗かせて言うその声も掠れていて、これはご機嫌斜めかもしれない。
悪かったと言って頭を撫でてやる。
すると両腕を伸ばしてきて、抱っこしろと言う。
たしかにそうじゃないと今の臨也は動けないからな。
洗ってやろうかと言ったら速攻で断られた。
何だよ、優しさじゃねぇか。下心はなくもなかったけど。
シャワーから上がるまで、テレビを見ていたらグルメ番組をやっていた。
そこに映るのは今目の前にあるフレンチトーストだったが、それにはバニラアイスが乗っかってて美味そうだ。
多分冷凍庫にバニラアイスがあったな、と覗いてみるとやっぱりあって。
スプーンですくって冷めてきているそれにかけると、わずかに残っていた熱で溶け始める。

少しして腰を庇いながらやってきた臨也の髪は濡れたまま。
そしてそのまま椅子に座り水を飲むのはいつものことで、それを乾かすのは俺の仕事。
柔らかい臨也の髪は比較的乾きやすいからすぐに終わる。

「今日の美味しそうだね。」

ドライヤーを切って傍らに置くと、臨也がアイスを指ですくって口に運んでいた。
指先から滴るそれを見てあぁエロいなと思う。
つい後ろから臨也の手を取ってそのまま口に含んだ。
わざと耳元あたりで音を立てて舐める。
美味い。さすがただの市販のバニラアイスだ。

「シズ、ちゃん!」

「あ?」

顔を真っ赤にして怒る臨也、可愛いな。
指先にキスひとつ残して放してやった。
こいつはこういうのに弱い、それを知らないふりをしながらやる。

「飯にするか。」


こうして俺たちの休日が始まる。


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Thanks 10000hits!
皆さんいつもありがとうございます。
かなり遅くなりましたが記念小説でした^^