愛情420%@



 
「…え"、何コレ。」

いきなり家にやってきたシズちゃんは珍しいことに手土産なんて持ってきた。
しかし、その中身が問題だった。

「プリン。」

「プリ…ン?市場には…。」

「出回ってねぇよ、作った。」

だよね、うんうん。
いやちょっと待て、作ったって!?シズちゃんが!?
恐ろしい、毒でも入ってるんじゃなかろうか・・・。

「やる。」

あれー?くれちゃったりしちゃうんだ。だが断るよ、俺は。
何の反応もしないままいると、いつもごはん作ってもらってるからそのお礼だとか言い出した。

「えっと、味見は?」

「幽が美味いって言ってたから平気だ。」

弟君か・・・、この兄弟はお互いに甘いからきっと不味くても美味しそうに食べるだろう。
しかも俳優なんて職業だ、シズちゃんを騙すくらい簡単だろう。

「……あぁそう、でもこれ面白いんだけど。プリンって普通プルプルしてるよね?」

俺はカップを揺らしてみせる。

「おぅ、してるじゃねぇか。」

「うん、ブルブルしてるネ。動きが鈍いのは気のせいじゃないよネ。」

ついでに言うとプリンのあのツヤ感がない、何このめちゃくちゃマットな感じ。
俺のコメントに不満があったらしく睨みを効かせてきた。

「あー・・・、はい。シズちゃんが作ってくれたんだから食べるよ。わー美味しそう。」

期待したような目で俺を見るな!
俺の棒読みの台詞を聞いたでしょ?
中々手を動かせずにいたがこのままではシズちゃんの視線で穴が開いてしまうと思い口に運んでみた。

ぱくっ

「…ふふっ、ふふふっ。」

「そんなに美味いか。」

そんなわけがあるか!
何この面白びっくりなプリン。え、これプリンなんだよね?
頑張れ俺、飲み込むんだ。

「…シズちゃん、お、美味しい…なぁ?」

「…!!」

「何て言うか…うん、食感が面白いね…。」

「無理して食うんじゃねぇ!」

バッとプリンを取られてしまった。
そりゃあそうだよね、俺笑ってるけど今涙で前が見えません(笑)

「泣くほど不味いのか・・・。」

「あははは…、プリンがもっしゃもっしゃするー…。」

そう、このプリン・・・食感がおかしかった。
味がどうのこうのの前に舌に乗ったときがヒドイ。
もしゃって、ありえない舌触りがするんだよ!?
これ食べ物じゃない。ある意味尊敬するよシズちゃん。

「うぅ…。」

「…今度はババロアにする。」

「まだ作るの!?」

こうして俺はシズちゃんのお菓子作りの闘志に火をつけてしまったようだ。

しばらく美味しいババロアは口にしないでおこう。

そしてこの後なめらかプリンを作ろうと心に決めた。



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これ実話です。

静雄→母
臨也→シガト

プリン好きで作ってくれたんですけどね、残念な結果に・・・。