「おいシルバー」
「なんだ」
「いい加減、はっきりしようぜ」
「何をだ」
「お前、俺のことどう思ってんの」


いきなり口を開いたかと思えばわざわざ言葉にするほどのことでもないような、くだらないことを言い出したから。俺はゴールドの不安げに揺れる瞳に気付きながらも、あえてそれを見もしないでため息をこぼした。取るに足らない。こいつが求めているものなんて。そもそも始まりがどちらからとも正確にはわからない、不明瞭ではっきりしないこの関係を定義づける必要性などあるものか。名前からして対称的な俺達だが、こういった考えにもどうやら明確な差異があるようだ。もしないとしたら、それはそれで恐ろしいが。
それでゴールドが満たされるのならば、悪くはないと思うけれどどうも釈然としない。つまりこいつは形の見えないものを盲目的に信じることはできないと。そういうことか。俺もそうだが。馬鹿みたいだ。
この状況を打破するための一言はとっくにこの胸の奥に用意してあった。さあ、あとは。

「好きだが」
「ほらみろ、やっぱりお前…………あ?」
「いまさら確認なんて必要ないだろう」

金の眼をぱちぱちと瞬かせ、俺の言葉にあっけらかんとほうけている奴は相変わらずの馬鹿面だ。そのたびにそんなゴールドがたまらなく愛おしいだけなのだと、そう実感させられてわけもなく悔しくなる。お前も、そうであればいいのにと。


「あっ、おまっ、だって……だって!」
「口先だけの言葉なんていらないだろう」
「シ、ルバー……」
「その目でよく俺を見ろ。俺だけを見て、そして理解しろ」

不可解で難解でそれゆえにおもしろいこの感情の名前を、お前につけてもらおう。
だから、この世界はこんなにも美しい。



∴証明しておくれ
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