あれから例の女生徒2人とは、どこかで会えば軽く挨拶をする程度の仲になった。精市が気に入るのも納得である。確かにこの2人と話すのは心地いい。
文通のほうも特に変わらず、ゆったりとしたやりとりが続いている。今日は何が書かれているだろうか。いつもの古ぼけた机に腰掛ける。


"あなたはもう進路は決めていますか?わたしは、まだ決められていません"

その文字を見たとき、俺は柄にもなく動揺したのだ。立海は文武両道の名門。もちろんほとんどが進学するし普通に考えれば大勢の人間はこのまま立海大付属高校か工業高校に進学する。故にこの書き方はかなり違和感がある。彼女は外部進学をするのだろうか?もちろん外部受験をする生徒も大勢いるが、やはり少数派だ。それにもう7月。進路を決めるならばもう決めなければいけないだろう。

俺は当たり前のように彼女が内部進学すると思っていたし、実際俺もその予定だった。だからこのささやかなやりとりも、もしかしたら高校に上がっても続けられると勝手に思っていたのだ。だから、いつもはスラスラかける返事がこの日に限ってはそうはいかなかった。

"このまま高校に上がる予定だ。外部受験をするのか?"

考えた結果、当たり障りのないことになった。もし彼女が外部受験をするなら、受験も考えてこのやりとりができるのはもってあと4か月といったところか。12月に入れば徹底的に外部受験対策になる。タイムリミットはもうすぐそこである。

更には、もう夏休みに入るのだ。また来月には俺たちの全国大会が控えている。これまで以上に厳しい練習になるだろうし、データ収集も整理も必要だ。夏休みなのだからこのやりとりも一時中断だ。だからもっと色々聞きたかった。彼女に聞きたいことがたくさんあったのだが、無情にも授業は終わりを告げてしまった。



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