「ねえジャン、知ってた?今見てる星って、今輝いてるとは限らないんだよ」
「はあ?んだよそれ」
「星ってすーごい遠くにあるから、なんていうの?時差?があるからさ、今見えるあの星も、あの星も、実は宇宙ではもうないかもしれないんだよ」
「時差じゃねえだろ」
「うるさいなあ、ジャンったら。ロマンがないよ」
「はっ、名前にもロマンなんかねえだろ」
「わたしにはあるよ、ロマン」
「そーかよ」
「でもさあ、すごいよね。あれだけ光ってるのにさ。ないかもしれないなんて怖いね」
「……」
「いつか何の予兆もなく、見えなくなってるってことだよね」
「何が言いてえんだよ」
「べつに、ヒトもそんなもんだよなーって思った」
「…そーかよ」
「なーんの予兆もなくさ、死んじゃう」
「縁起悪ぃな。やめろよ」
「まあ、わたしは死なないけどさ」
「はあ?おまえなんかよえーし馬鹿だしすぐ死ぬだろ」
「何いってんの。最後はジャンが助けに来てくれるでしょ」
「行くかよ」
「来るよ」
「マルコにでも頼めよ」
「マルコはダメだよ、マルコに迷惑かけられない」
「どういう意味だよコラ」
「うるさいなあ、ジャン」
「てめえ…」
「わたしはジャンに迷惑かけてもいいんだよ」
「願い下げだな」
「そんなこといって、ツンデレなんだから」
「死ねよ」
「縁起でもないこと言うな」
「こっちのセリフだ」
「くそー…」


「…まあでも、お前の最期を見るのはこの俺だろうがな」
「は?わたしのこと殺すの?」
「ああ、殺してやりてぇな」
「なんでそんなこというかな」
「巨人に食われるより、いいだろ」
「わたしは兵士だから、国のために死ねるのは本望だよ」
「ばーか、お前なんか国のためになんてならねーよ」
「……」
「……」
「…素直に俺が助けに行ってやるって言えばいいじゃんか」
「…ばっかじゃねーの」
「つれないなあ」
「……死ぬなよ」
「ジャンこそ」
「俺が死ぬわけねえだろ」
「自信過剰な馬ヅラね」
「…殺す」
「殺してよ」
「……願い下げだ」
「なんなのよ」
「今は、に決まってんだろ。時期が来たら殺してやる」
「なにそれ、何年後かな」
「兵士辞めたらだな」
「はあ?ばっかじゃないの、ジャン」
「うっせえな。…それまで俺が守ってやるって言ってんだよ」
「…ジャンっぽくない」
「素直に照れたって言えねえのかよ可愛くねえな」
「ジャンだって可愛くない」
「当たり前だろ」
「…うざっ」


(悪態つけるうちが、今の幸せ)


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肉付けしたくてできなかったモノ


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