午後五時半

銀魂保育園のお迎えのピークの時間



「尚せんせー!またあした!」

『はーい。桂くん、前みて歩いてねー!』

「じゃあな、尚」

『高杉くん、ちゃんと先生つけなさーい、また明日ね!』

「ぎゃああ!おまえ!臭い!臭い!こっちくんなよ納豆女!マジで!」

「もう!照れ屋なんだからっ!!」

『猿飛さーん、銀時くーん、お迎えきてるわよー!追いかけっこしてないで帰りましょー』

「なによ!もしかして先生、銀くんねらってるの!?ライバルなの!?」

『本当納豆くさいな。狙ってませんからねー、はい。帰りましょー』

「どーだか!女はこうやって下手にでて隙をみて奪う生き物なんだから!私騙されないわよ!」

「抱きつくんじゃねーよ!くせーよ!!尚先生たすけて!」

『気をつけて帰ってねー!』



園児一人一人の個性が強すぎる銀魂保育園。みんなとても良い子で、生意気で、ませてかわいい。


大変なことだってあるけど、こうやって名前を覚えてもらってぶんぶんと手を振ってもらえるのは凄く凄く嬉しい。

私はなんだかんだでこの仕事が気に入っている






「さーて、と。ほとんどの園児は帰りましたね」

『そうですね。あ。ハタ王子園長、触覚とれてますよ』

「あの銀髪と長髪と片目のクソガキめェエエ!!!!」



『…と、お迎えまだなのは……』


砂場に埋められた触感を大事そうに掘り起こす園長を置いて部屋のなかへ戻ると、

一人で積み木をしている男の子が視界にはいった。




『神威くん。おとーさん遅いねえ』

「……うん、おしごと大変だからね」


ふわりとピンク色のみつあみを揺らして、気にしていないとでも言いたげな顔をした。



もう彼はこの保育園にはいってからずっと、一番最後までいる子だ。


人見知りらしく他の子とはあまり遊ばず、こうやって一人で積み木やお絵描きをする事が多い。(前に銀時くんや高杉くんと喧嘩していたことはあったな。)



神威くんはあまり感情を表にださない。

泣くところなんてみたことがない


話しかけても素っ気ないことが多くて、まだ慣れてもらってないのかなーって少し落ち込むこともある。



『なにつくってるの?』

「んー。くるま」

『先生も一緒にやっていい?』

「いいよ」

『よーし。先生お城つくっちゃお』

「うん」

『……』

「……」



こんな感じで会話が終わってしまうのだ。



……私は神威くんに嫌われているのだろうか

神威くんは私の名前を呼んでくれない。


私以外の先生はちゃんと名前で呼ぶのに(ハタ王子園長のことは触覚ってよぶけど)、私だけ"先生"なのだ


嫌なわけじゃないけど、寂しい。



うじうじと考える私自身に嫌気がさし、思い切って聞いてみることにした。



『ねえ神威くん』

「ん?」

『先生の名前知ってる?』

「……知ってるよ」

『あ、そうなの!なんだ。てっきり知らないのかと思ってた』

「知ってるよ」

『だって神威くん、先生だけ名前で呼んでくれないんだもん。先生寂しーなー』


しょぼーんとした顔で神威くんにそう言えば、神威くんはぴくっと少しだけ肩を揺らした


…ん?なんだこの反応は。




『神威くん、先生のこと嫌いだから名前呼ばないのかなーって思ってたよー』

「……嫌いじゃないよ」

『ほんと?やったーっ!』


神威くんから聞けた"嫌いじゃないよ"がなんだかとても嬉しくて、私は調子にのった。




『じゃあ神威くん。先生のこと名前で呼んでよー』

「え」


ピタリと固まる神威くん。

はじめてみるその表情はやけに子どもっぽい。


神威くん可愛いなぁ。

さり気なくモテるんだよね。隣のジャスタウェイ組の女の子がきゃーきゃーいってたなぁ、たしか。



『ほら。呼んでみて』

「い、いやだ」

『えー!なんでなんで。先生のこと名前で呼んでよーっ』

「む、無理だよ」



くそーっあと一歩なのに!

もう少しで、今より神威くんと仲良くなれそうな気がするのに!


…先生としてはどうかと思うけど、最終手段よ、最終手段!




『……やっぱり、』

「?」

『神威くん、先生のこと嫌いなんだ〜!』


そういってしくしくと泣いたふりをして見せれば、神威くんはあたふたとしたような表情をしてみせた。

くるまのおもちゃをとってきて私にみせてきたり、お絵描きした絵をわたしにみせたり


必死なところが、なんだか凄く凄く可愛くてついつい泣き真似をやめない。



……っと、園児相手になんつーことを。


まぁ許してやろうと思って、手を顔から離そうとしたとき、



「呼ぶ、呼ぶから!」

『…え?』




「………、っ…尚…せんせ、い」



ぼそぼそと呟く神威くんの唇から確かにそう聞こえた。



『わぁー!神威くん呼べたねえ!』

「…っ!」

『ん?あれ?神威く、』



「か、帰る!おとうさんきた!」

『え?え?』


神威くんはさっと立ち上がりロッカーから自分の荷物をとり、足早と私の前を通り過ぎてわたわたしながら靴をはく。



保育園の前には黒い車

見覚えのある。たしかに神威くんのお父さんの車だ


『あ、また明日ね!神威くん!気をつけてー!』


神威くんは振り返ることなくその車に乗り込んで帰ってしまった。



……おかしいな。いじめすぎた?








車内

「おう。とうさん中まで尚先生見に迎えにいこうとしたのに。」

「うるせー、クソオヤジ」

「どつくぞお前。?どーした?耳。てか顔。茹で上がってるじゃねーか」




好きで呼べなくて
( もうムリ、絶対顔みれない )







ショタでヘタレな神威。
ショタがわからずとりあえず園児で
管理人の脳内ではショタ=園児です。(泣)

最後らへん園児神威がかわいすぎて
犯罪臭しますね。すいません。




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