煌く綺羅の夜 | ナノ


▽ 番外編 DOTING 9


次の日。一日中、天気もよく満天の星空。
六人は、村から少し離れたところにある小さな山の山頂にいた。
ちょうど、木々がなく星を観るのには絶好の場所だ。
「「わぁ〜すご〜い!!」」
蓮花と稚林の声が重なった。
「ほんとね」
朱璃も二人に同意する。
「酒持ってきたら、よかったなぁ・・・もったいねぇ」
そう鎧綺が言うと、緋耶牙が何やら肩から下げていた袋を漁る。
「葡萄酒とアブサンなら、一応、もって来たぞ」
そういって、酒のビンを掲げて緋耶牙は、ニカッと笑った。
「ナイス!緋耶牙」
「準備、いいな」
鎧綺に続けて、望遠鏡の設置を終えた由騎夜も言う。
「だろ?あーけど、由騎夜は焼酎のほうが良かったか?」
「いや、今日は飲まないから。さすがに、このケガに酒はキツくて」
「そうか?それなら、いんだけどよ」
男三人が酒トーク(?)を繰り広げている中、女三人は・・・――?
「で、名前で呼ばれるようになったんだ!」
「はいv」
「よかったじゃない!」
やはり、いくつになっても恋愛話に花が咲く。
少し男三人から離れているため、その内容は聞こえないが、嬉しそうに話す三人を見て
男三人も微笑んでいた。
「私と鎧綺は聞いたとき、びっくりしたけどね」
「アハハ、確かに『蓮花!?』って揃ってたもんね」
「ま、びっくりするでしょ。あの由騎夜が名前で呼び始めたんなら」
「おーい!こっち、こいよー!!」
緋耶牙がそこで、三人を呼んだ。
「行こうか?王子が待ってるから(笑)」
「「そうだねっ!」」
三人は一斉に駆け出し、それぞれの愛しい人の元へ急いだ。
「なんで、そんなに嬉しそうなんだ?」
鎧綺が訊ねる。が。
「「「ナイショ!」」」
というと、目を見合わせた三人はクスクス笑った。
それを見た、男三人は(((…可愛い…)))と思うのだった。
「望遠鏡のピントも合わせたから、もう観れるよ」
と由騎夜が言うと、一番近くにいた蓮花が最初に覗いた。
(…わぁ〜〜〜〜!!すごい、綺麗―…)
「すごいね、由騎!」
「れんちゃん、見せてー?」
「うん、すごい綺麗だよ!」
続けて稚林が覗く。稚林からはわぁ〜!!≠ニ声がもれた。
今日、皆を誘って良かったと、心から思う由騎夜がいた。
と、緋耶牙が突然、空に向かって叫んだ。
「朱璃ー、結婚しよ――!」
言われた朱璃は、嬉しさと恥ずかしさのあまり、今にも泣き出しそうだった。
蓮花と稚林は「やったぁ!」だの「よかったねー」だの、騒いでいる。
鎧綺はすかさず、「色男vv」と突っ込んだ。
由騎夜に限っては、(あー…仲人…)と既に思考をめぐらせている(笑)。
そんな中、また叫んだ人物がいた。蓮花だ。
「煌湖さーん!ヨーシュさーん!この空、観てますか――?」
鎧綺も「姉貴、元気か―?」と叫んでみたり。
由騎夜はそんな様子を、笑いながら木に寄りかかって見ていた。
そんな由騎夜に蓮花が気づき、近づいていく。
「由騎…?どうしたの?」
「ん?あ、蓮花。いや、どうもしないけど…俺はこんなケガしてても、幸せだなって!」
「?」
「皆といれて幸せだ」
そういうと、蓮花を抱き寄せてささやいた。
「…蓮花、愛してるよ…」
蓮花は赤くなりながらも、「私も」と小さく返した。
六人は夜遅くまで、そこで語らい盛り上がった…。

移設20171202




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