煌く綺羅の夜 | ナノ


▽ 番外編 DOTING 7


枝都を追いかけた朱璃は水場で、枝都を発見した。
枝都は由騎夜の血で濡れた手を半狂乱でごしごし洗っていた。
「ッおい!!!」
ビクッとその肩が跳ねる。
朱璃は思いっきり枝都を振り向かせ、振り向かせざまにビンタを見舞ってやった。
そして、水場の石に片足をのせ、襟を掴んで怒鳴りつけた。
「何やってんだよ!!逃げるくらいなら、最初ッからすんじゃねぇ!!もう、金輪際、由騎夜や鎧綺の周りにに手ぇ出すんじゃねぇぞ!!!」
…朱璃さん…、男になってますよ…おーい。
「出したら、どうなるか…わかってんだろうな??あ゛?あたしがただじゃ、済まさない!!」
どういうと、朱璃は勢いよく枝都に身体を放し、枝都はバシャンっと水の中へ落ちた。
自分はというと、踵を返し、ある場所に向かった…。
その二人のやり取りを見ていた村の女達は、絶対に朱璃には逆らわないでおこうと心に誓ったとか。


診療所では、処置を終えた由騎夜が包帯を巻いている最中だった。
大胆にも由騎夜は、処置をするのに服が邪魔だ、かといって下手に動かすと傷に障るからからと、はさみで服を切り脱いだのだった。
服の一着や二着、どうってことないと言って。
蓮花は、服を着ていると細い気のする由騎夜の―実は―しっかりした体躯に驚く…。
ましてや、好きな相手の裸となれば恥ずかしさは一層で、それを悟られないように包帯を巻くのを手伝うことは、
蓮花には簡単なことではなかった…。
(由騎夜さん…じゃなかった、由騎だった…広い胸……やだ、私何考えて…)
自分の考えに一層、赤面した蓮花に由騎夜から声がかかる。
「蓮花?明日から当分、診療所休みにするから代筆で、急患は宿屋に来てくれるように書いてもらえないかな」
「え、あ、うん」
言われて蓮花は机の上にある白紙にペンを走らせる。
「出来たよ、どこに貼る?」
「入り口の横、あ、外ね?」
「わかってるよ」
蓮花は笑ってそう言い、入り口の横に紙を貼ると、小袋が置いてあるのに気づいた。
「??」
手に取ると"ごめんなさい、もう二度と近づきません"と書かれた紙とお菓子だった。
ふと、蓮花は微笑み、それを持って中へ入った。
「由騎、これ…」
と言って手紙と袋を渡す。由騎夜は左手で薬や包帯、処置道具をしまっている最中だった。
「ん?・・・ふーん、これで懲りてくれたいいな」
「うん」
蓮花の笑顔に由騎夜の顔もほころぶ。
「じゃ、帰ろうか…二人も待ってるだろうし」
「そうだね」
由騎夜は診療所に鍵をかけ、蓮花はさっきの袋を持ち右手を由騎夜の左手とつないで鎧綺と稚林の待っている宿へと急いだ。

移設20171202




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