商店街へ行ってコインゲームをした。ファミコン風のドットゲームが目に入り、座ってコインを入れた。
軽快な音楽と共に髭面の赤いおっさんがぴょんぴょん跳ねる。面白いかどうかは別として。
私はこのとき、自分が売られている女のような気がしてならなかった。私は今一人商店街にいる。時期に大人の時間がやってくる。私は一人だ。でもきっと話しかけられない。話しかけられるとすればそれは警察だろう。私はそれくらいにまで魅力がない。
しかしシャチくんはどうだろう。こんなところで遊んでいたら魅力的な女性や暴力団に目をつけられてしまう。彼はそれくらいにまで目を惹く存在なのだ。
そう考えるとだんだん苛立ってきた。何故みんな私に話しかけない。私ってば、そんなに魅力がないの?
考え事をしながらゲームをしていたせいだ。髭面の赤いおじさんが、ふと目付きの悪いキノコにぶつかると、呆気無く死んでしまった。
目を見張った。そして呆れた。なんて弱いんだろう、このおっさん。
おっさんに失望していると、ようやく画面の眩しさに気づいて、私は目を慣らすために辺りを見回した。私と席を四つほど開けた場所に、気持ち悪いオタクちっくな男が座っていた。夢中でゲームをするその顔は死んでいて、そこに映る眩しいゲーム画面が、彼の無情さを一層引き立てていた。
怪訝にそれを見ていると、ふと目の前の明かるいものが消えた。
嘘でしょ、そう呟いたが嘘じゃないことなんて自分が一番分かってる。呆れた。二度目だ。画面が消えた。ぶっ壊れた。イカれた。
まぁいいや。ゲームは終わってるし、こんな居心地の悪いところに長居もしたくない。売れない女はクールに去るぜ。私は立ち上がる。
慌ただしそうにするおじいさんがやってこなければそうしていた。
もうガタがきていてなぁ、そろそろ壊れるとは思っていたんだよ、申し訳ないねぇ、というおじいさんの愚痴が頭に刺激を与える。ああ、そうですかと味気のない返事をする。
お金は返すよ、申し訳ないねぇ。百円をおじいさんの手から受け取る。皺が酷く、皮膚が伸びきった手は震えていた。私ってば、安い女。