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俺の浅はかな考えのせいでこうなってしまったわけではない。いや、それも少しあるだろうけどこの話に乗ってきた丸井先輩の悪ノリが過ぎてしまったせいだと思う。そう思いたい。いや絶対そうだ、俺は悪くない。
この作戦は昼休みに女子が「幸村くんってほんと美人だよね、中性的っていうか」と言ってるのを聞いて思いついたのだ。普段ならこんなこと恐れ多くてできるわけないのに、きっと丸井先輩という特攻隊長がいたからできたのだと思う。その作戦は前衛のスマッシュ練習のときに実行された。それは球出しのロブを上げる幸村部長の股間にスマッシュを当てるというハイリスクノーリターンなミッションであった。丸井先輩はこのミッションに名前を付けた。「ミッションインポッシブル」。丸井先輩は自分で付けた名前なのに爆笑しながらこう言った「インポって!座布団5枚だろい!」さすがっす先輩!そう言ったその時の俺をフルボッコにしてやりたい。ちなみにこのミッションでなにがしたかったのかというと、股間を押さえて苦しむ幸村部長を女子ギャラリーに見せたかったのだ。幸村部長だってチンコあんだぜ!男なんだぜ!みたいな。今思うとどうでもいいことである。

「くらえ幸村くん!」

丸井先輩の渾身のスマッシュが炸裂した。まさに天才的なスマッシュは寸分の狂いもなく幸村部長へと向かっていき、あとちょっとで股間へ直撃、そのとき

「あぶね」

パシッ!と超高速スマッシュを掴んだ幸村部長を見てサーっと血の気が引いた。

「ブン太危ないじゃん、俺のマグナムになにすんだよちょっとこっち来い」
「いや、今の赤也だから!」
「はぁ!?いや明らか丸井先輩っしょ!」

はぁ。またですか。とでも言いたげな柳生先輩が眼鏡をくいっと上げて言った。「今のは丸井くんです」

「眼鏡てめえ!」
「いいから、なんもしないからちょっとこっち来いってブン太」
「ごめんって!あ、俺お腹痛いかも!うんこしてくる!」
「するならここでしろ」

公開処刑か…。俺がごくりと唾をのんだと同時に丸井先輩は走り出した。

「うううウォシュレットじゃなきゃやだ!」

丸井せんぱーい!共犯の俺も走り出した。覚えてろよ!という台詞は言えるはずもない。

090927
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