素直にならない

※目隠し、拘束など注意



「…貴様、何のつもりだ」
「お前が悪いんだよ」


横向きに寝転がり、後ろ手に拘束。
催眠術を使って逃げられないように、目隠し。

それが今の直井の状況だ。圧倒的に、俺の方が有利。

「…分かった、貴様の頭のネジがぶっ飛んでいるのは嫌というほどに分かった。だが、何故神である僕が貴様のような愚民にこんな屈辱を味わされねばいけないんだ」

「よくそんなことがすらすら頭に浮かんでくるよな。可愛気のない」


そう、直井は常日頃から音無以外の奴みんなにこんな態度だ。音無にそれを指摘されてからは、ゆりっぺの言うことを少し聞くようになったほどらしい。
見下されている中でも、最も酷い扱いなのが俺だ。洗濯挟みだのトイレットペーパーだの、馬鹿にしている。


「可愛くなくて結構。それより、早くこの拘束を解け」
「意外だな。案外あっさりと言う」
「は?」
「もっと罵声がくると思ってた、ってことだ」


「……ふん、」

足の自由は利くんだから、足でもがくなり蹴るなりすればいいのに。そう思ったが、それじゃまるで俺が蹴ってほしいみたいじゃないか。
俺はサディストでもマゾヒストでもない。断じて。

「本当はさ、もっとこう…お前の下のお口に玩具でも挿れて放置しようかと思ってたんだが、それじゃ面白みに欠けてるからさ」
「じゃあ、拘束と目隠しは、」
「そうでもしないと逃げるだろ?」


確かに、と呟く言葉を聞き逃さなかった。予想通りだ。

なんとなくシャツのボタンを開けていく。


「お、おいっ、貴様…!」
「ん?」
「まさかヤるんじゃっ…」
「え? あぁ、んー…。気が変わった」
「っ、貴様…!」

ギリ、と悔しそうに歯を噛み合わせる音がした。

「まあ、最後まではシない。ちょっとだけ予定変更」

それでも悔しさに溢れた表情を止めない。目が隠されていても分かる。



「――…ちょっとSM縛りをして、玩具を突っ込むだけさ。心配ない」


そう告げると、全てが絶望に染まったとでもいうような表情に変わる。
あとこれは、SMではない。……多分、だけどな。




fin.



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