それは消えない境界線

※11話の派生みたいな捏造。ですので、書き直しはしません。NPCな高松




高松が、あの変な影にやられた。

後悔の渦が、心を支配している。高松がやられた次の日、高松はNPCとなって発見された。最初は信じるはずがなかった。信じたくない、でも、どこか魂の抜けたような雰囲気を持った高松を見ると、信じざるを得なかった。

「ごめん、音無くん…僕のせいだ…」
「……いや、大山は悪くない」
「本当、本当に、ごめんっ…!」

何回目だ、と思うほど大山に謝られた。大山は悪くない、悪いのは、あの変な影を作った野郎だ。そんな気持ちを抱え、自然と俺はある場所へと向かっていた。








*学習練 A練 教室



「…やっぱり、誰もいないか」

この教室は、NPCと化した高松と初めて話した場所だ。ここに来れば、高松に会えるかな、なんてそんな淡い期待をしていた。だが今は放課後で、誰もいない空き教室になっていた。

「…高松、」

高松が座っていた席の元へ行き、机を撫でる。あの高松は、この席に座ってクソ真面目に授業を受けていたのか?

「…人の席で何をしているんですか?」

懐かしい声が響いた。俺はゆっくりと、その声が聞こえた教室の入り口へと顔を向ける。高松がいた。NPCの、メガネをかけていない高松が。

「………」
「人が質問をしているのに無視ですか?」
「…、っ……」
「どいて下さい、忘れ物をしたんです」

いつも思っていた。すぐ脱ぐ変態だし、ただ格好だけをつけたバカな奴だと。でも、そんなバカが今では俺の知らない奴になっている。コイツは、一生報われないまま、NPCとして過ごすのか? 生きてきた人生でも理不尽を呪い、そのままこんな世界に来て。また世界の理不尽を呪うのか? 今のコイツにそんな意識があるとは思い難いが、俺やSSSのみんなからすれば、今の高松の方が見てて痛切だ。

言っていた忘れ物とやらが見つかったらしい高松は、そこに俺がいなかったかのように無言で立ち去ろうとした。

「っ……た、高松!」
「………」
「…お前は、本当に、忘れちまったのか? 何もかも。SSSのみんなを思い出せとは言わない、せめて、誰か一人でも覚えて…」
「……名も知らないような人に、呼び捨てされる覚えはありません。それに、何度も言わせないで下さい。SSSとは何ですか?」

ああ、本当に忘れちまったんだな。

「そもそも、あなは誰ですか。私と一体どういう関係で?」
「………」

正直に答えるべきなのか? だとすれば――俺は事実を伝えるまで、だな。
俺はゆっくり、ゆっくりと高松に近づき、そのまま唇を押し当てた。短いキスを終え、

「……こういう関係だ」

そう言い、動揺の色に染まった高松の瞳を見つめた。

「…ありえませんね」
「それがな、ありえるんだよ」
「証拠は?」

そう言われ、返答に困った俺はとっさに思いついた嘘を吐いた。――俺にとっては最悪で最高な、嘘だった。だからか、どこか挑発するようにこう言った。

「……俺の“カラダ”にある」








場所を変えられた。「こんな場所では教室掃除をした人に失礼」らしい。向かった先は高松“曰わく”以前から住んでいる寮だった。まあ、どちらにせよ、ヤるという目的は明らかだ。


「ふ、んっ…ぁ……た、かまつ……」
「…気安く名前を呼ばないで下さい」
「うっ、あ、わり……ひっ! …や、…ぁ……」

俺のハジメテだった。きっと、高松もそうだ。そうだと信じている。高松はどこかノリノリで、男同士のやり方も知っていた。部屋に入るなり突然押し倒し、服を破くように脱がせ、少しだけ前を弄ってどこから取り出したのか、アナルにローションを塗って解かしてすぐに挿れて。そんな流れ作業が行われていた。
腰をしっかりとつかみ、上下に激しく動かしている。高松が無駄に難いがいいからかどうなのかは知らないが、力が入っていて痛い。それでも、快楽を求めて一緒に動いている俺も俺だ。

「…い、たっ……ぁう、う、…もっと……」
「淫乱なんですか?」
「し、知らな…っ」
「そうですか、恐らく行為に夢中になり、無意識に私の背中に爪を立てていますよ」

そんなこと、気付きもしなかった。

「わ、わるい……」
「…別に構いませんけどね。それより、そろそろ限界なのでは?」
「気付いてたのかよ……イキそうだ」
「実を言えば、私も我慢できそうにないのでね」

高松の言葉を合図のように、俺はイッてしまった。同時に、俺の中へと注がれる粘液を感じる。いまさら、ゴムを付け忘れていたことに気付く。それでもよかった。これが、俺と高松の最後の繋がりのような気がしたから。


「………――」



俺はそのまま気を失ってしまったようで、目を覚ますとそこはいつもの校長室だった。制服はきちんと着ていて、後処理までされていた。…高松がしたのか?
後で聞いた話だが、俺は俺がいつもKEYコーヒーを買っている自販機の前に倒れていたらしい。

あのとき、最後に高松が言った言葉。よく聞こえなかったけど、聞こえたような気がする。その言葉は――…







(昔、あなたと出会った気がします)

fin.

ごめんなさい…ぬるぬるえろな上に変な文しか書けなくてごめんなさい…。11話があまりにも衝撃的だったので…!こんなものなのに秋ちゃんに捧げます。ごめんなさああああい!!
高松、復活してくれないかな…過去も気になるし、秋ちゃんの気持ちが分かるよ…!