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「みなさん、集まって頂いてありがとうございます」

「お前から連絡なんてめずらしーな、テツ」
「黒子っちの呼び出しならいつでも歓迎ッス」
「黒ちーん、パフェ頼んでいいー?」
「この忙しい時に一体なんの用なのだよ」
カラオケボックスのパーティルーム。
見る人が見れば豪華すぎるメンツが集まっていた。
「紫原くん、すみませんがもう少し我慢して下さい。あと10分後には赤司君が来てしまいますので、端的に説明しますね」
黒子の言葉に、それぞれ自由にしていた4人が一斉に動きを止める。
「赤ちん来るの?やったー」
「聞いていないのだよ……」
「こんなトコで勢ぞろいかよ。いっそバスケしてー」
「俺ならいつでも相手するッスよ、青峰っち!」
「うっせー」
「ヒドッ!」
そしてまたも騒ぎだし、黒子がパンパンッと手を叩いて制する。こういう時は本当に存在感の薄さが仇になる、と黒子は顔を顰めた。
「そうです。卒業以来、初めての集合ですね。あと黄瀬くん、うるさいです」
「え?なんで俺だけ……」
「黄瀬、うるさいのだよ。で、用件は何だ?仲良く同窓会という訳でもなかろう」
「だからなんで俺だ……」
「はい。とても重要な事です」
黄瀬の言葉を遮った黒子の真剣な表情に、周囲が息を呑んだ。
「今日は赤司君の誕生日です」

「お、おい、テツ……まさか」
「……それだけで呼んだのではないだろうな」
数秒の沈黙の後、青峰と緑間が呆気に取られた顔で聞く。
「他に何があるんですか!!」
キリッと凛々しく言い放った黒子に二人は苦虫を噛み潰したような顔で沈黙した。
「黒子っち……俺、6月生まれッス……」
「だからなんですか?」
「……なんでも無いッス」
無表情の黒子に、黄瀬がテーブルへ沈んだ。
「祝いてぇなら一人でやれよ。んで俺らが付き合わなきゃなんねーんだ。くだらねー。帰る」
「青峰の言う通りなのだよ。明後日からはWCだというのに……」
「俺は赤ちんお祝いするー。甘いものいっぱい頼んでおこう」
「はい、宜しくお願いします。ちなみに青峰君」
ダウンジャケットを持って腰を上げた青峰に、黒子が扉の横の電話機で注文する紫原を指した。
「帰りたければイージス破りを」
「…………チッ」
2mの壁が出入口を塞いで完全密室となった事に黒子は爽やか笑い、青峰は舌打ちしてダウンを放り投げた。
「バラバラになった君達が集まるなんて滅多にありませんからね。今日くらい、楽しんで下さい。あ、丁度良いタイミングです。はい、これを」
廊下に映った赤い影を見て、黒子はどこから取り出したのか、全員分のクラッカーをテーブルの置いた。
「相変わらず無茶苦茶だな、おめーは」
「仕方ない……今回だけは付き合ってやるのだよ」
「来年の6月は忘れないで欲しいッス」
「おぉー。赤ちんすぐそこだよー」
ノックと共にドアノブが下がる。
「ではみなさん、準備は良いですか?…………せーの」


『ハッピーバースデー!!!!!!!!!』


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