▼ 序章
思い出すのは決まって終焉の歯車が回り始めた時。イトコの死、復讐、反逆、次々消える仲間の命。
もうこれで何度目だろう。もう今回で終わりなのだろうか。それともまた残り僅かな時に思い出すのか。
……また今回も駄目だった。タイムリミット間際でも必死に運命に抗おうとしたが、目の前に広がるのは泣きたくなるほどの憎らしく美しい青空。
身体に空いた無数の穴から、血がとめどなく流れてく。全身を襲っていた痛みはいつの間にか消えていた。狂いたくなるほどの悔しさからか、それとも死の間際だからなのか。……いや、そんな事もうどうだっていい。
だんだんと薄れ行く意識の中で、先逝った仲間を想う。
――次で最後。
……? 次で……最後?
突然頭の中に聞こえてきた知らぬ声を最後に、オレの意識はブツリと切れた。
眠れぬ奴隷たちの世界は一巡する。
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