Shadow Phantom | ナノ
 11:一週間後の申し出

 僕がこのチームに移転してから一週間が経った。チームの仲間達とは正直まだ距離はあるが、昼食を奢った事がきっかけか、ホルマジオにはちょくちょくと声をかけられるようになった。
 この一週間ほど彼等の事を察していたが、確かに彼ら達は人殺しだけど同時に、自分なんかよりも普通の人間でもあるって事が分かった。よく食べ、よく笑い、よく喧嘩をし、時には趣味について語り合い愚痴を言い合う。そんな彼等が少し羨ましくもあったが、それは今までの事があってからこその関係なのだと割り切る。
 さて、そんな僕だが未だに任務が回らない。そろそろあっても良いんじゃないかと思うのだが、リーダーから何もお達しがないので、夕方まではアルバイトをして夜にも無かったらまた違う小遣い稼ぎをする毎日である。ちょっとした休暇みたいでいいが、流石に身体が訛ってしまうのでいつ仕事に入るのか聞き出しに行くことにした。

「リーダー、ちょっと今いいでしょうか?」
 執務室で書類に格闘しているリーダーに声をかけると、視線は書類から外さず要件を聞かれた。
「僕にはいつ任務が入るのでしょうか?」
「……………………霧坂には、メンバーの誰かと手合わせしてもらう。なにせお前のスタンドが、どのくらいの力を持っているのかわからないからだ。それを見てからじゃないと判断がしずらい」
「手合わせですか?」
「そうだ。簡単に言うと、スタンドバトル。なにか希望はあるか?」
「頑丈な人がいいです。それこそ、電車に跳ね飛ばされても生き残れる人をお願いします」
 僕の希望にリーダーは疲れた目をパチパチと瞬かせた。
 これは、僕と力比べをする人には絶対的な条件の一つでもある。昔よりかはできるようにはなったが、まだまだ手加減をするのは難しくて苦手である。つい力を入れすぎれば、蚊を潰すのと同じ感覚で人間など簡単に潰してしまう。
「難しいですか?」
「いや……何とか大丈夫だろう。やるのは明日の晩。場所を確保しなくてはならないからな」
「わかりました」
 久々の闘いに心が浮き立つのを感じた。

 対戦フィールドに選ばれたのは、ネアポリスの街から離れたドブネズミと野良猫しかいない海岸側倉庫だった。ずいぶんと使われていないのか、街灯の電球は消えているし、倉庫のシャッターや傍に置かれている機械は潮風で錆びついてとても動かせない状態だったり、壁一面にはスプレーの落書きが酷く目立っている(落書きは勿論街にも沢山あるが)。リーダーが言うには、ここは一応パッショーネの管理地区で使用許可を取ったらしい。まさに、戦うには絶好な場所だと思った。隠れられる所は多いし、人目につきにくく明かりは月明かりだけだ。
 そんな場所に、8人の人物が揃った。
「ルールは簡単。制限時間は5分で殺したり、重傷になるような事は避けること。勝敗が付きそうになったら終了の合図を送る。降参は認める。以上だ」
 そんな大雑把な説明をリーダーから受ける。残りの5人はその様子を離れた場所で聞いていた。
「「si.リーダー」」
 これからこの横に居る人物との5分が始まる。 
  

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