Shadow Phantom | ナノ
 8:暗殺者たちの会議 

「あの新入りだが、念の為に用心しておいてほしい」
 霧坂が自宅に戻った後、帰ってきたメンバーもリビングに集めた。仲間達はオレの一言に表情を固くさせる。
「何か思う所あるのか? 物腰柔らかそうで、とてもこっち側の人間には見えなかったぜ?」
 ホルマジオが場の雰囲気を和らげるように言う。オレはそれをスルーして端のソファーでくっついているソルベとジェラートにある事を聞いた。
「ソルベ、ジェラート。二人はこのパッショーネに『拷問チーム』があった事を知っていたか?」
「そうだねぇ……軽い噂程度ぐらいしか知らないな。オレ達みたいに趣きに存在を知らされていないチームがいくつかあって、その一つにそのチームがあるとかないとか」
「……本当に存在していたんだな。拷問して聞き出す情報は、この組織の中でもトップレベルの重要な物らしい」
「やはりか。霧坂もチームについては自分で言っていたが、話を聞き出す役割はあまりしなかったらしい。……とはいえ、オレは存在を隠され重要な情報を持っているだろう人物を、この底辺のチームに送ってくるのは何か引っかかる。上から送られたスパイなのではと疑いがある」
 リビングの中が静まり返り重い空気が流れる。もともと扱うのが難しかったり、人間性に問題があるやつらが集まるチームだけであって、上からの待遇は酷いものだ。きっといつ裏切り行為をするのかと目を光らされている。そんな空気を破ったのが、プロシュートだった。
「ハンっ。もし仮にスパイだったとしても、このチームに押し付けられたんだから嫌でも受け入れるしかねぇ。ただ、万が一のことを考えて疑いが晴れるまでは、あいつの前で迂闊な事をしないように気をつけるべきだな」
 うんざりしたように、吸い込んでいた煙をゆっくり吐いた。横に居たペッシはオドオドし、ホルマジオはいつもの口癖を吐き、イルーゾォは不安そうに鏡に引きこもり、ギアッチョは苛立ちを隠さずにソファーを蹴りメローネはどこか不満げな表情を浮かべ、ソルベとジェラートはいつも通り二人だけの世界に浸る。
「本当に凜はスパイなのかねぇ? 確かにあの笑顔は作り笑顔だったけど、オレにはスパイには見えなかったなぁ」
「どっちにしろ苛つくぜぇ。貧弱な身体だし、あんなガキ臭いのにリーダーと同じ歳とかふざけた事言っているし胡散臭せぇーし、ジャポネーゼとか舐めてんのかっ! クソ苛つくぜぇ」
 メローネが口を尖らせて言えば、ギアッチョは余計に火が付いたようにたださえボロいソファーを蹴る力を強めた。
「ギアッチョ。それ以上蹴るんじゃない。とりあえず、そういう事だ……それと、霧坂の部屋はイルーゾォの隣だ。イルーゾォは時間が空いた時に霧坂の行動を監視しておく事……以上解散」
 怠そうにそれぞれ散る中、鏡の中から不満げな声が聞こえたのだった。  


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