どうやら好きみたい



ここ最近様子がおかしい。目が合っただけで眉間に皺を寄せて、声を掛けても無愛想に応えるだけ。本当にどうしちゃったんだ――私。




「…いい加減にしてくれないかな」




談話室のソファを占領して、リドルはやんわりと私にそう言った。一見すると極上の笑顔だけど、騙されちゃいけない。深く浮き出た青筋が全てを物語っている。




「うるさい!近付かないで!」

「そう、それ。僕が一体何をしたって言うんだよ」




溜息を吐いて詰め寄るリドル。逃げられるはずもないのだけれど、取り敢えず抵抗してみる。が、案の定両肩をソファの背もたれに押さえ付けられて、動きはあっという間に制限された。そして駄目元で試みた成果は、リドルの苛立ちを更に募らせただけだった。…私のばか!




「レポートも見てあげてるし、授業のペアも組んであげてる。僕は君に感謝こそすれ、拒絶される筋合いはないと思うんだけど?」




ペラペラと正論を述べるリドルに、う…と言葉が詰まる。そう、理不尽なのは自分が1番よく判ってる。でも、第一ここ最近の自分の異常に自分自身理解不能なんだから、リドルに説明出来るわけがない。取り敢えず今言えることは…、




「…はなして、」

「だから、理由を…っ!」

「苦しいの!」




リドルの言葉を遮って半ば叫ぶように紡いだ私の言葉に、リドルは一瞬怯んだように肩に置いていた力を少し弱めた。私の唇からはストッパーがなくなったように言葉がどんどん溢れて止まらなかった。




「リドルが近くに居ると心臓が苦しくて、でも近くに居なくても変わらなくて、他の子と居るの見ても苛々して、もう…わけわかんない!全部リドルのせいなんだから!」




そう言ってバシンとリドルの肩を叩いた。でもリドルは痛がる様子も見せず、彼にしては珍しいくらい間抜けな顔をして私を呆然と見詰めていた。




「…それ、僕のことが好きってこと?」




予想もしない発言に、今度は私がポカンと口を開けた。暫くして漸く言葉の意味を理解すると、同時に赤くなる肌。




「ち、違う!」

「…じゃあ、僕がこれから言う言葉を聞いて苛々しなくなったら、君は僕のことが好きってことだからね」




そう言ってニヤリと笑うリドルの顔がゆっくりと近付いてくる。思わず彼の肩を抑えて抵抗する私に、リドルは楽しそうに囁いた。




「……僕も君が好きだよ、サラ」




ドキンと胸が高鳴って、瞬間、何かもが止まった。











どうやら好きみたい


ほら、苛々しなくなっただろう?耳元でリドルの低音が響いて、心臓は1番煩くて壊れちゃいそうだけどね、と吐き出した私に、彼は愛しそうに微笑んだ。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -