「ちょっとくっつかんといてよ」
「ええやん、減るもんちゃうし」
「減るわ!!確実に何かが減る」
「こうやってたら新婚さんみたいやな」
「絶対ないし。てか私の主張は無視なんや。酷いわ、蔵なんか嫌いやわ」
「ゴメン、ほんまゴメン。お菓子選んできてええから嫌いとか言わんといて。俺名前に嫌われたらショック過ぎて立ち直れん」
「(うざ、というか鬱陶しいし、恥ずかしいし、はよ帰りたい。蔵がアホな事言うからむっちゃ見られてるやん)」


只今学校帰り、名前と蔵ノ介は近所のスーパーで周りの注目を集めていた。

そもそも二人がこうしている理由はさかのぼること数時間前、昼休みに入ってきた母親からのメールだった。


『今晩お母さん出掛けるから二人で何か作って食べといてな』


あれお姉ちゃんと友香里は、と思ったが期待は打ち砕かれた。
お姉ちゃんはバイト、友香里は友達の家に泊まるらしい。そして二人、と言えば勿論名前と蔵ノ介しかいない。

家に帰るん憂鬱や…、と名前は肩を落とす一方、よっしゃ!!名前と二人っきりとか嬉し過ぎる、と蔵ノ介は喜んでいた。



そして放課後、友達の家にお邪魔しようとしていた名前を蔵ノ介が無理矢理引っ張ってスーパーに連れてきた。



「晩ご飯何にしよ?」
「んー…」
「「カレーとか?」」
「あ、」

タイミングよく二人の声がハモってしまい互いに顔を見合せた。

「いやーなんか嬉しいなあ」
「偶然やし、それに大抵作るって言ったらカレーやん」
「照れんでええから」
「照れてない」


いちいち面倒だ、と思いながら材料をカゴへと投入していく。どうせお金は蔵に払わせるんやからちょっとくらい高いの買ってもえっか。


すると前方に何やら人だかり。あ、これはチャンス!!

「あ、お肉タイムサービスやっとるよ」
「ホンマや、オバチャンらむっちゃ怖いやん」
「蔵行って来て」
「は?さすがに今から行っても無理やろ」
「大丈夫、蔵なら出来る」
「意味分からん」
「ほら頑張って」

渋る蔵ノ介の背中を突飛ばしてオバチャン達の群がる戦場へと送り出した。

私の計画通りにいけばこの戦勝ったも同然やから、きっと蔵なら出来る!!
揉みくちゃにされる兄に心の中で声援を送っておいた。


「いっ!?え、ちょムリムリ」

突然突き飛ばされた蔵ノ介は為す術無く押されていく。
が、可愛い妹の為に彼は頑張った。


「アンタかっこええなあ。おばちゃんいっぱいゲット出来たからちょっと分けたるわ」


途中オバチャン達のご厚意により目的のお肉を貰い、その他の特売品やらを貰い、戦場から生還した時にはカゴいっぱいになっていた。


「私の予想通りやな」



戦は計画的に

(こんだけ買えへんやろ)(蔵が貰ってんからなんとかしいよ)









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