「ちぃちゃーん」



珍しい、朝から彼が教室にいるなんて。発見した瞬間思わずめがけてダッシュ、そしてがばっと抱き付いた。まだ眠たいのか目がボーッとしているけどしっかり受け止めてくれてふにゃっとした笑みで迎えてくれた。


「おはよ、名前」
「おはよう、珍しいけどどうしたん?」
「んー、なんとなく?」



ちょっ、何!?
か わ い す ぎ る

身体は大きいくせして小首を傾げるとか反則です千歳くん。



「はー、名前の身体ぬくかがら気持ちよか」
「ちぃちゃんもぽかぽかして、る…ぅえっ」



あまりにきつく抱き締められたからなんか変な声が出た。て言うかそんなのお構い無しで何か勝手に首筋にちゅう、ってしちゃったよこの人。自由だなぁ。…………あ、



「待って、待ってよ」
「どうしたと?」
「今日集会で風紀検査やん」
「そうやっけ」
「そう、やからキスマークとか止めて」
「そげんこつ言うてももうついとる」


恐らく赤い痕が付いているであろう箇所に触れながら千歳は笑っている。


「ちょっとどうしてくれるん?またあのハゲにいろいろ言われるし、蔵に見付かったらややこしなる…」



生活指導のハゲ親父気持ち悪いし何かやらしいし。この前も呼び出されてセクハラまがいなこと言ってきて本当にあり得ない。
だから極力関わりたくなかったのにおもいっきり見える所にキスマークなんか付けてくれて…。
それ以上に大変なのはうちのシスコン兄。

蔵やったら目ざとく見付けてお説教一時間半とかやなぁ…、憂鬱過ぎる。




「んーじゃあ仕方なか。帰ろ、な?」
「え、帰るつもり?今来たとこやのに」
「名前があのおっさんにやらしい目で見られるん嫌たい」
「え、でも、っておーい!」



千歳は名前を抱き抱えたまま鞄を持って立ち上がっていた。

「わ、私歩けるから」
「もうすぐ担任来るけんはよいかんと」
「やから走るから!恥ずかしいから降ろして」
「あ、やば」



またなー、とクラスメートにご丁寧に笑顔で見送られて教室を出た瞬間噂のハゲと遭遇。あれ、先生顔が赤いよ?




「お前らぁ教室に戻らんかい!!」


怒鳴り散らして走ってくる先生を見て口ではヤバいと言うものの千歳の顔は笑っていた。


「名前、しっかり捕まっとくたい」





愛の逃避行でもしましょう

(遠くまで行きましょうか、お姫様)(ちぃちゃん走るん速すぎ・・・)





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