「名前ちゃーん、おかえり」
「た、ただいま」


玄関を開ければ満面の笑みを浮かべた蔵が両手を広げて待ち構えていた。


やばい目が、目がむっちゃ据わっとる!!

そりゃね、ちぃちゃんの家にいるとき尋常じゃない数の着信とメールを受け取った段階でこうなることは予想してましたけど。

「学校サボって千歳とイチャついとったんやろ?さぞ楽しかったんやろな」
「イチャついてたんではないけど…、いやごめんなさい。学校サボったりしてごめんなさい」
「あんな、お前がサボってくれたおかげで俺が生徒指導室からお呼ばれしてんで?今月3回目やであのハゲに怒られたん」
「やったね」
「嬉し無いわ!!そりゃ名前の為やったら何だってしたるけどな、千歳と一緒ってなんやねん!!そんな子に育てた覚えはありません、お兄ちゃんは悲しいで」
「育てられた覚えはありません。てか言ってて空しない?」
「昔は『蔵と結婚する!!』って言ってたのに」
「え、お父さんと結婚するって言ったことはあるけど蔵とは別に」
「そんな寂しい事言わんとってや!!!!」


最初の強気な態度はどこへやら、急にメソメソし出した蔵は正直かなり扱い難い。どさくさに紛れてちゃっかり抱きついたりしてるけど、これを無理やり引き剥がしたらまた面倒なことになるって分かってるから余計にたちが悪い。


運動も勉強も出来てオマケにイケメンなのに重度のシスコンってだけでこうも残念な感じになるとは。ファンの子が見たら幻滅しちゃうな。


「くーら。今回は私が悪かったから、お説教に巻き込んじゃってごめんね」
「そんなんどうでもええねん」
「どうでもええってなぁ…。あのな、兄妹やから結婚は出来んけどそりゃ私やって蔵といつまでも仲良く一緒におれたら良いなって思うよ」
「ほんまに…?」
「ほんまやからもう泣かんの。お兄ちゃんやろ」
「そう…やな、名前を守ったらなアカンのに泣いてる場合ちゃうな」


泣いてどうする!!


「ってことは名前は千歳より俺のことが好きってことやろ」
「あのな…(ばりポジティブ、さっきのは一体?)」




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -