私の師匠はとっても
強いエクソシストで
あり科学者でもあり
ます。科学班の人た
ちのように変なモノ
を作っては周りを捲
き込んでいろいろと
トラブルを引き起こ
す、なんてことはし
ないのですが何せ鬼
畜という言葉を体現
したような人ですか
ら実験台を弟子であ
る私に絞って何の殺
人兵器だ!!と思わず
言ってしまうような
ものを私で試してみ
るのです。それはそ
れは愉しそうに。





目の前がチカチカし
て間もなく自室の天
井が目に入り自分が
倒れている事に気が
付いた。



今度は一体何を混入
してくれたんだ、あ
の人は。



忌々し気に飲みかけ
の紅茶の入ったティ
ーカップを睨んだ。




師匠が何かを作るの
も、私を実験台とす
るのも、いつも気紛
れだった。だから一
週間立て続けに死に
そうな目を見る時も
あれば三ヶ月近く平
穏に生活を送れる時
だってある。今思い
返せばこの前にいろ
いろ(思い出したくも
ないが右腕と肋骨数
本にヒビがはいった)
あってから四ヶ月ほ
ど経っていたから、
いつ何が起きても不
思議ではない、常に
注意を払っておくべ
きだった。




はぁ、っと溜め息を
つこうとして自分の
身体に起きている異
変に気が付いた。




息が吸えないし、吐
き出すことも出来な
い。




まるで喉に何かが詰
まっているような感
覚。呼吸が出来ない
から体内の酸素が欠
乏して手足が痺れる
、そして意識が朦朧
とする。まずい、本
当に死ぬかもしれな
い。





「よぉ気分はどうだ
?」






生理的に溢れてくる
涙で霞んだ視界の片
隅にぼんやりと今回
の元凶である紅い影
が映った。



「そんな顔で睨むな
、心配しなくても殺
しはしない」



クロスが首元に触れ
脈を録りながら嫌味
ったらしく笑った顔
を近付けたのが分か
った。




「薬の効力は効き始
めてから5分程度だ。
だからほっといても
勝手に戻るさ」




師匠はさらっと言っ
てのけるから質が悪
い。殺す気はないと
言うけれど明らかに
殺傷能力の高い薬物
だと思う。そしてそ
んなものを平気で弟
子に試すのだから真
性のSだ。






「…し、しょ………
お、に…だ……」






「………………あぁ
?」

「………………」



二人しかいない部屋
の空気が一瞬にして
変わったのはお互い
に感じただろう。





まさかの事ですよ、
不慮の事故。薬の効
果が切れて少しずつ
息が通り始めていき
なり声が出たせいで
あって決して師匠に
面と向かって鬼、な
んて言いません。言
えます。ただちょっ
と心の中で悪態をつ
いたりしていたのが
タイミング良く出て
しまっただけであっ
て、って!!




「死にたいならから
逝かしてやるよ」


「ち、が……っ」




やっぱり師匠はS確
定です。まだ酸素を
取り込むのでいっぱ
いな私の上に跨がっ
てあろうことかキス
をしてきやがりまし
た、所謂ディープな
感じのやつを。




抵抗しようにも全身
に酸素が回っていな
い状態で体重を掛け
られているので、動
けないどころか身体
の感覚が無くなって
いた。ただ口内を犯
すクロスの舌の動き
と厭らしい音だけが
やけにリアルに頭に
響く中、私の体内の
酸素は再び尽きよう
としていた。











「こんな愛情表現も
良いと思わないか?







真っ白になった世界
で意識を手放す瞬間
師匠は私を殺すつも
りなんだということ
を悟ってしまいまし
た。




あぁ、窒息死











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