「なー、暇やねんけど」
「ふーん」
「聞いとる?」
「ふーん」
「完全に聞いてへんやろ!!」
「うっさいなあ!今忙しいって言っとるやん」



テスト前のこの大変な時期に、私の邪魔をしに来たのかこいつは。さっきから五月蝿くまとわりついてくるユウジを適当にあしらって再び問題集の方に意識を集中させる、つもりだったのに。



「ちょ、なにくっついとるんよ鬱陶しいな」
「放置プレイとか名前がやるんはええけど自分がされるって面白ないやん」
「私も嫌やし。て、やめっ」
「なぁ構って?」


後ろからのしかかっているユウジの腕ががっちりと腰に回され、わざとらしく耳元に口を寄せてくる。


「最近なかなかいちゃついてへんやん?」
「それ、は、アンタが忙しいとか言って勝手に…」
「寂しかったんやろ」
「ちゃうわ調子乗んっ!!」


自分の都合で人を振り回しといて、私の都合は関係ないわけ?文句を言ってやろうと思って後ろを振り向いたが言いかけた言葉は途中で掻き消されてしまった。


「名前、やばいむっちゃ可愛い」
「うっさい」


唇が離れたと思ったら再び重なる、さっきよりも長くて深いキス。久々ということもあっていつもより身体がじんじんと熱い。咥内で絡み合うそれも熱を帯びていてそのせいか、それとも自分が感じているのか、なんだか頭がぼーっとしてきた。

お互いに息苦しくなって一旦離れてもまたすぐに口付ける。
いつもにまして甘えてくるユウジに胸がときめいく。

このまま流されてもいいかも。

服の中に侵入してくる手を受け入れ、ゆっくりと床に押し倒されていく時、ふと視界の隅にやりかけの問題集が映った。




『おまえこんどのテストで赤点とったら進路やばいで』


数日前、職員室に呼び出され担任から告げられたある意味最終通告。その言葉が頭をよぎり急に現実に引き戻された。やばい、こんなことしてる場合じゃない。一瞬にして体中の血の気が引いた。


「うぁぁああ、あかん絶対あかん!!」
「なんやねん、ええとこやのに」
「べ、勉強せな私の人生が終わるねん」
「もう人生終わっとったんちゃうんか?」
「だまれ、あぁぁー。もう今日はあんたの相手してられんから、帰って」
「あんだけ誘っといておあずけか!しかも後でせっかく勉強手伝ったろ思って来ったのに」
「ユウジが人に勉強教えれるくらい余裕あるとは思えませーん」
「甘いな、今回は小春と部活の後に勉強しとったから全然余裕や」
「は、何それ抜け駆けとかずるいし!!」
「今回は補習組から抜けさせてもらうでー」


最近デートに誘っても全部断るし、やたらつれないなぁと思ってたら彼女ほっといて勉強してたの?しかも私というものがありながら小春ちゃんと!!(一応性別は男の子やけど)(やたらユウジは小春ちゃんにべったりやし)いつもなら一緒にテストの成績がよろしくなくて補習させられてたのに、こいつ一人で逃げる気なんだ。私を置いて、一人余裕ぶっこくつもりなんだ。だからこんな邪魔ばっか……。


むっちゃ腹立つ!!絶対に赤点取らんし、ユウジには負けたくないテストの成績。


「絶対に負けんから覚えとけよ」
「は?」
「テスト絶対赤点取らんし、ユウジには負けんから」
「名前に出来るもんならやってみぃ」
「やったるわ。ユウジが小春ちゃんに教えてもらうんやったら私は白石に教えてもらうもん」
「なんでやねん、浮気か!!」
「ちゃうし、やって今白石彼女おるねんで。そういうユウジこそ小春ちゃんと浮気しとるんちゃうん?」
「そんなわけ…」


なんでそこで強く否定せんの?その微妙に悔しそうな表情で視線を反らしたのにはどんな意味があるのかな、ユウジくん?
ひとまず今日のところは深くつっこまないでおこう。


「絶対に負けんから」
「おーやってみ、俺も負けんから」
「私の本気なめんとってよ、もしユウジが勝ったら今日の続きしたるわ」
「!!今の言葉撤回はなしやぞ」
「ええよ、但し私が勝ったら小春ちゃんにべったりくっつくのやめてよね」
「名前……、小春にやきもちか?」
「五月蠅いな。はいそういうわけで今日はさよなら!!」



絶対に勝ってやるもん。続きはそれからでも、ね?





(白石ー)(小春ー)((ちょ、浮気ちゃうやろな!?))









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -