「……すまぬ、もう一度聞いて良いだろうか。」 「嫌です。」 「たのむ。」 「い、や、で、す!!絶対聞こえてましたよね??」 「だが、信じられぬのだ。」 これ以上話が進まないのも困るので、意を決してもう一度彼に問いかける。 「だ、だから…斎藤先生が、好きなんです。どうしたら良いですか…。」 私の顔に熱が集まるのが分かる。 「……名前が、俺を…これは現実なのだろうか。」 「夢のが良いですか?」 「そうではない。」 「私、先生に相談してるんですけど、どうしたら良いですかね。」 「付き合う、ということに対して不満なのか?」 「斎藤先生は先生です。」 「そうだ……。だが、今更我慢などできまい。」 そういうと、はじめ君は 私の手を引き、されるがままに彼にもたれかかるような姿勢になり、抱きしめられる。 「せ、先生!?ここは学校です!!!!」 「案ずるな。鍵はかけてある。」 い、いつの間に!? 「卒業するまでは、鍵は必須だな。」 なんだか、包まれていると 嬉しい気持ちが事実で 「そう、ですね。」 思わず、応えてしまった。 「ち、違う、そうじゃない。学校内ではなしですよ??」 「な…なにゆ……「なしです。」しょ、承知した。」 「はい。」 「名前。俺の名前を呼んでくれるか?」 「まだ、学校内です。」 「二人だけのときで良い。」 う、私はこの瞳に弱い。 「…は…はじめ君。」 「ようやく、呼んでくれたな。名前、好きだ。」 綺麗に微笑んでそんなことを言う。 そして、視線が合わさり 「は、はじめ君!?校内だよ!」 唇が重なる。 「勤務時間外だ。許せ。」 そして、私の学生生活が慌ただしくなっていく。 I have him in my hand. prev next back |