「ふーん、君が苗字名前ちゃん。か……」

とって食うでもわけでもないのに
警戒心剥き出しにして
まるで、うさぎだよね。

「あの、沖田先生。なにか御用でしょうか??」

とりあえず、廊下で話すことではない気がしたから、英語研究室に苗字さんを招き入れる。

「苗字さんは、はじめ君とはどんな関係なのか気になってね。今朝、君は坊主の少年に竹刀を向けているのをはじめ君と見てね。」

あの時は、本当に驚いた。
女の子があんなに逞しくしていて
かと思えば、はじめ君は君を見つめていて、多分あの見つめ方は
恋をしているんだと思う。

「あれは、千鶴……雪村さんを狙う頭がお花畑の人から守ってるんです。特に最近は、きんぱち、じゃなかった。金髪の人がしつこいですし。」

噛んでいったよね。いま。

「あははは、君面白いね。朝は、はじめ君が苗字さんをじっと見つめて、独り言のように苗字さんの名前を呼んでたから」

「気のせいじゃ「ないよね?」

「はい。」

素直な子は嫌いじゃない。

「で?先生は生徒の味方だよ?」

「斎藤先生は私が小学3年生まで、家が隣だったんです。」

「なるほどね〜。それで、君のことを知ってたってわけね。」

「はい。」

「でも、はじめ君は君を見つめた瞳は、生徒を見つめる目じゃなかったなぁ…」

「そんなこ……とありません。」

今の間は、なにかあるって答えてくれてるってことだよね?

「さっき、なにかあった?僕としては、堅物なはじめ君が苗字さんに恋するとすっごく面白いと思うんだよね。」

「先生と生徒ですよ?良いんですか?」

「まぁ、世間一般じゃモラルとか常識とかつくんだろうけど。僕はそんなことはどうでも良いし。何より面白そうだから、全面的に応援してあげる。」

なに、その真っ青な顔。

「強制とか、脅迫に近いようなものを感じるんですが……」

「ん?なにか言った?苗字さん。」

「とりあえず、進展あったら教えてね。苗字さん?」


なんだか面白くなりそうだなぁ〜


常識やモラル?

そんなの知ったことじゃない。












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