「お昼休みになっちゃったよ。」

いつもなら、
嬉しいはずの昼休みなのに。

「名前ちゃん、斎藤先生に呼ばれていたもんね。」

「平助代わりにいく??」

「名前は俺を殺す気か。」

「名前ちゃん斎藤先生のこと知ってるの??」

こーゆう時、私の可愛い千鶴は
するどい。

「昔、お隣さんだったの。」

正直、今は余裕が無くて、うまく説明がでてこない……

「そうなんだ…また、詳しく聞かせてね??」

気を遣ってくれた千鶴はやっぱり、

「もうっっ!!千鶴っっ大好き!!」

飛びつくと、可愛らしい声で
驚いてくれる。

そんな、友人から元気を貰い。
研究室の戸の前まで来た。

「失礼します。苗字です。」

「あぁ、入ってくれ。」

戸をガラガラっと開けると
そこには、荷物の整理をしている
はじめ君。

相変わらず、几帳面な性格は健在らしい。それが、少し嬉しくもある。

「斎藤先生、集めた課題になります。」

「すまない。………久しいな、名前。」

私の後ろをすり抜け、開けっ放しの戸を閉めて、教室では苗字で呼ばれていたはずなのに…

「ど、どうして名前を…」

呼ぶんですか

あなたは……

「俺は、名前のことをよく覚えている。名前が小学3年生までよく一緒にいたものだ。名前は俺のことを忘れたか?」

あんなに、小っ恥ずかしい記憶を気にしていた私はやっぱり、まだまだ幼いと思い、少し反省。

はじめ君が私のことを覚えていてくれることが嬉しい。

「そんなこと、覚えているに決まっています。斎藤先生。でも、名前呼びは学校ではまずいのでは??」

「俺は名前に、あの約束を果たしてもらいたい。」

前言撤回。
しかも名前呼びはスルーですか?

「はい……????」

はじめ君の顔が少し紅い。

「いや……気が早いな。名前はどうなんだ?」

「い、いえ、なんのことでしょうか、斎藤先生。」

「名前が俺に、その……だな、およめSa…「っっ覚えておりませーん!!!私は、これにて戻ります!!し、失礼しましたー!!!!!」

はじめ君が戸の前にいて、
一瞬戸惑ったけど
それどころではなく、戸を開け出ようとすると、腕を引っ張られる。

「待て、名前、話は終わっていない。」

「私にはお昼休みの時間が貴重なんです!!」

自分でも驚くぐらいの勢いで
戸を開けてダッシュした。
「まっ待て名前!廊下は走るな。」


はじめ君が私に向けて掛けた言葉も耳にはいらず勢い良く駆け出した。



ガシッと音が出る勢いで
再び腕を掴まれ、私の腕を掴む人物を確かめようと見上げると。

ニヤニヤという効果音がつきそうな
顔をした沖田先生がいた。


もう一度大切なので言います。先生、お昼休みは貴重な時間なんです。









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