傘
何が悲しいのかと聞かれれば私はこう答える
「貴方を雨から守れないことがとても悲しい」
凍てつく水の刄から貴方を隠してあげれない
ボロボロになった腕で君を必死に守ろうとするけど
芯の折れたこの体ではあまりにも力不足で
突風が吹いたら折れてしまうだろう
もぎ取られて飛ばされてしまうだろう
私の祈りは 小さくて晴れた空を希い願うには
何もかもが足りない
私は冬の寒雨から貴方を守る
何れ捨てられるこの身ならいくらでも使ってください
そして最期の時には別れの言葉さえかけず
私をゴミ箱へ捨ててください
いっそ 全部 埋めて。