蘇合香



この暑苦しい潮風の町にあつてわたしの咽は純粋な酸素を求めてゐる


むさ苦しゐ「CO2」は甚だ意識を苛むばかりで
コンクリイトから反射して焦げた光が目の奥を焼いてみては臭ふのであつた

「……臭ゐ」


せめてこの狭窄症状だけは何とかしておくれ


意識が肺に呑まれる。
私は思ゐ出す。幼ゐ日の事を。


それが何より苦しゐのだ。


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