夜のサーカスにおいでませ

道化役でいいのさ
詐欺師が巧妙に甘い罠を差し出した
私だけのクラウンでいて
宝石箱に孤独を隠した
拍手、喝采、また明日
不揃いな足元が、不協和音のワルツを奏でた
君は僕の子犬
おやおや忘れ物ですか
天蓋ベッドで俯せの眠り姫は空想を愉しむ
おばあちゃんになっても今日の日のことを思い出すんだろうな
テントの影で、僕たちはこっそりと手を取った
綱渡りとか、浮気心とか
空中ブランコに花束を
悪い子は食べちゃいますよ
ボールは虚しく宙を描いて君の掌に滑り込む
幻想を噛みしめる三日月
奇跡なんて起こらないさ、そう皮肉るあなたの存在こそが奇跡だった
僕はピエロだから笑い顔が張り付いてしまって笑えなかった
さようなら、そう手を振った君の横顔が泣きそうなくらい震えていた
踊れよ愚図ども
百獣の王も私の前ではただの子猫だわ
しなる鞭が、君のしなだれた肩に喝を入れるのだ





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