どうしてこう…
俺は彩夏の事になると、こんなにも不器用になるんだろう。
普段、特にテニスの世界で「神の子」と呼ばれる俺が、今恋人を前にして赤面しているのだ。
(テニス部のみんなとお昼中)
と、突然彼女が話しかけてきた。
「ねえ、精市。」
「なんだい。」
「顔が赤いよ、大丈夫?」
ああ、どうして君は…
俺が赤いのは、君のせいだというのに。
「…大丈夫だよ、心配しないで。ほら、早く食べないと。」
「嫌だよ。精市が心配だから。一緒に保健室に行こう?」
彩夏は、上目遣いで、少し目をうるわせて、俺を見る。
全く。無防備にも程がある。
「ここで休むよ。」
「え、でも…」
彼女が言い終わる前に、俺はまた言った。
「もちろん、彩夏もだよ。ここで俺の看病をして。」
「うん。でも大丈夫なの、こんなところで。」
「俺は誰もいないベッドで寝るより彩夏がいてくれた方がうれしいよ。だから、ね?」
「う、うん。」
そして俺は、近くでみていた彼ら(R陣)を見た。
見ただけなのに、ビクッとして、出てっちゃった。
まあ、いいや。これでやっと二人きり。
「彩夏。膝枕、してくれる?」
「うん。ゆっくり寝てね。」
「おやすみ。」
ていったら、俺より先に寝てる彩夏。
看病してくれるって言ったのに。
ふふ。寝顔も可愛い。
彼女が寝たあと、俺は“いつもの俺"に戻っていた。
「そんな彩夏ちゃんにはお仕置きが必要みたいだね。」
俺は、彼女に気づかれないようにそっとキスをした。
「ふふ、好きだよ、彩夏。」
その瞬間、ドアの方で音がした。
ガタッ
見てみると、そこには真田をのぞくレギュラーたち。
ヘェ〜ミテタンダ。
イイドキョウヲシテイルネ。
おっと、カタカナになってた。
どうやら、彼らもお仕置きが欲しいみたいだ。
今すぐあげるよ。
次の日のテニス部では、レギュラー全員が気を失っていたという。
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