捧げる印象十七題
右の眸は深海の一滴、その他のすべては夏の汀。
閃光、地平線上に星を墜とす。
薊と野ばらのソテー、シロツメクサを添えて
無差別に放たれる青いシグナルが、静かな夜に流星群を呼ぶ。
お砂糖、杏子、秘密を煮込んだジャムで綴じた百冊の本
空の色も地平の色も月の色も見に行ける、けれど今はここにいる。
春は白い衣を纏って、季節外れの雪と踊る。
すみれの花で染めた爪が、もう一度のびるころ、会いに来て。
吐息はさくらんぼ
ギターは銀河の色をした幽霊に、それ以外のことは全部、きみに習った。
この手は水、この足は水、体は世界を反射するけど、目だけは世界を閉じ込めたびいどろ。
純白の花束は七色の水を吸い上げる。
紅いリップは似合わないなんて、勝手に決めるのは止してね。
棚引く朝焼けに消える星が見た、最後の人。
幻だとしても、なおさら愛してる。
放て、まだ誰も見たことのない鳥を射よ。
私が硝子の林檎なら、貴方は罪など負わなかった。
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