◎つり球2
「やっぱり私には釣りは向いてないよ」
釣るよりも直接潜って取った方が絶対に早いってこれ。網さえ持たせてくれたら濱口も吃驚な魚取ってこれるよ。
一人諦めて釣り竿を仕舞い、山田くんのそばへ寄る。山田くんのそばはなんとなく居心地がいい。これが25歳か。恐るべし。
今日は無言で空を見た。
青い空が眩しくて、なんとなく流星街を思い出した。きたないところだったけれど、空はきれいだったのを覚えている。
「‥今日は静かなんだな」
「うるさい方が良かった?」
「別に」
「青空って見てると嬉しくなっちゃうよね」
「そうか? 変なやつ」
「夏休み、山田くんもどこか行こうよ」
「どこか?」
「夏は涼しいところがいいな。山田くんは行きたいところある?」
「特にない。出かける予定もない」
相変わらずかわいくない25歳だな。
まあ、常日頃から監視されてちゃこうなるのも仕方ないのかな。私は監視カメラへ向かってにっこりと手を振ってやった。気づいてますよアピールだ。そして手から電気を出すと、監視カメラに向かって飛ばした。ナイスヒット。
「‥っ!? 急にカメラが壊れただと」
「こわいねえ、どうしたんだろう」
山田くんににらまれたので帰りました。
20140326
mae tsugi
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