◎念能力者がつり球
転校生が二人(しかも二人とも個性が強い。)という時点で何か起きるなとは思っていた。私はそういう勘に限ってよく当たる。案の定三人目も来た。25歳で高校生とかやべーだろ。イケメンだからいいけど。
そしてこの際「釣りってそんなに流行ってたっけ」という疑問はなしにして、まずは問いただしたい。
「――何で私までここにいるのかな?」
釣りをしに来た本人たちはいいよ。でも、制服でスカートで装備無しの私がここに来るのはおかしいと思うんだ。
すると私を連れてきた張本人が胸を張って「名前も僕と同じだからね!」とおっしゃった。おいおいこいつ確か自己紹介で宇宙人とか言ってなかったか?勘弁してくれよ。
「‥まあ、君とも違うよ、私は」
25歳イケメンからの視線が鋭いものに変わってしまって私は悲しいよ。ていうか何でこいつもここにいるんだ。
私は強いて言えば、転生しただけの念能力者なのに。
「違うの?」
「違う。私は名字名前、ただの女子高生だもん」
「うーん。よくわかんないけど、一緒に釣りしよーう!」
「‥私は見てるだけでいいよ」
「そう? やりたくなったら言ってね!」
純粋な笑顔を見ていると少し切なくなる。
から、嫌みっぽい顔をしている25歳の後ろへ立った。明らかに警戒してて面白い。
「私は宇宙人じゃないよ、25歳」
「山田・アガルカール・アキラだ」
「私は名前」
「さっき聞いた」
「25歳で高校生ってわけあり?」
「まあな」
「変だね」
「悪いか?」
「いや、全然。私も人のこと言えないくらい変だからね」
「確かに変だな」
「山田くんさあ、笑った方がいいよ。君は目が鋭いから、真顔だと少しこわい」
呆れたように笑う山田くんはさすがイケメンと言うべきか、かわいい。
「25歳で高校生なんて、どうせろくでもない事情なんでしょ? なら、楽しんだ方がいいよ。いつも顰めっ面してたら勿体ない」
「‥お前には関係ない」
「関係ないって人を遠ざけても、一人で寂しくなるのは自分だよ」
「お前の物差しで俺を計るな」
かわいくない25歳。
私は何故か宇佐美くんの隣に連れて行かれ、しばらくお話していた。
20140325
mae tsugi
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