ネタ vol.2013 | ナノ

◎球磨川成り代わり女主が荒木荘へ

 いきなり知らないところへ来たと思ったらごっつい男たちに囲まれてて、いくら球磨川さんの成り代わりをやっていたとしても、驚いちゃうのは仕方がないと思うんだよね。
 球磨川さん成り代わりと言っても私は過負荷のレベルに波がある。気分がいいときはそこまでマイナスではないが、一度落ち込むとマイナスのどん底だ。こら、マイナスって時点でどん底とか言わない。

 でもまずは、今の状況からどうにかしないと。

『私は球磨川芒。君たちは誰?ここはどこ?』
「カー「DIOだ」‥私の台詞に被せるなよ吸血鬼風情が。私はカーズだ。そしてここは荒木荘」
『‥‥‥あらき、そう』

 知らんがな!
 この人たちからは犯罪者っぽい感じしかしないからとっととお暇させていただこうと思った瞬間、DIOとカーズと名乗った男たちが目を合わせてから私にかじり付いてきた。「ちょうど腹が減っていてな」と抜かす半裸男たちには常識なんてものはないのだろう。
 しかし、私も大概常識がなかった。

『《却本作り》――悪いけど、私と同レベルになってもらったよ』

 見る見るうちに二人の髪の毛は白く染まり、力もだんだん弱くなってきた。二人は何が起こったのかすぐにピンときたようで、私に押し返されると目を三角につり上げる。
 どうせエリートに決まっている。私はいつだって敗者の味方だ。

「貴様‥スタンド使いか?」
『スタンド?なにそれ美味しいの?』
「今の螺子がスタンドではないのか」
『私の《却本作り》はただの過負荷だよ、そんないいものではない』
「確かに、相手の能力を自分と同等まで落とす能力はあまり使い勝手が良いとは言えないな」
「ヌゥ‥何故自分より下にしないのだ?」
『それは私が徹底的にマイナスだからさ。それに、これはHIGH-LOWも付けられる。そうだね、封印なんていうのもやったことがある』

 私と会話をしていく内に、彼らはある仮説をたてたらしく、閃いたという顔をした。外人顔なだけあって様になっている。
 そして、その仮説曰く。

「貴様、ジョジョと闘ったな?」

 である。ジョジョって誰だよ。

『私が敵にするのは今も昔もめだかちゃんだけだよ』
「なに‥?」
『バケモノみたいに強い女の子だったなあ』
「‥フゥム、とにかく貴様は敗れたわけだな?」
『まあ、そうだね』

 そもそも私が勝ったことなんてないのだけど、今は無駄口を叩くと余計面倒になりそうだから口を噤んだ。

 今の言葉から察するに、この二人もジョジョという奴に負けたらしい。こんなガチムチ二人を負かすなんてどんなバケモノだよ‥。ジョジョももしかしてガチムチなのか。この二人が敵わないレベルのガチムチを想像したら胃に堪えてきたので私は考えるのをやめた。
 そしてなんだか二人とも露出度が半端ない。特にカーズ。褌一丁ってそりゃないぜ。私はこれでも年頃の乙女である。

「――ただいま。何を揉めているん、だ……」
「「吉良!!」」

 スーツ姿のおっさんが来た。この中では一番まともそうだがいかんせんスーツの色がド紫な時点でちょっとアレな気しかしない。ああでも良かった、ちゃんと服着てる。

「吉良、どうやら新入りだ」
「新入り…?」

 吉良と呼ばれたおっさんは私の顔を見ようともせずに、何故か手を取った。そしてうっそりと笑う。あ、これヤバいやつだ。フフ…と笑い始める吉良さんをカーズとDIOが止めるが止まらない。

「フフ…いや、失礼。貴女の手があまりに綺麗でして…」

 中年真っ盛りの後ろでカーズとDIOが額に手をあてて「あーあ」というポーズをしているあたり、これは日常茶飯事なのだろう。この中年、元気すぎである。

『手が欲しいの? はい、どうぞ』

 隠し持っていたサバイバルナイフでで手首から先を切り落として吉良さんに渡すと、何故か信じられないものを見るような目で見られてしまった。

『欲しかったんでしょう?』
「…ふはは、気に入った! 吉良、こいつを飼うぞ! 絶対だからな!」
「私も賛成だ! ナァニ、世話はするさ!」
『ゲッ』


mae tsugi

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