「あなたは私を捨てるでしょう。その前に私が捨てただけの話」 「捨てるはずがないじゃないか!私は一生君を愛し続ける!」 「ふふふ」 そう、それ。一生とか絶対とかあり得るはずがないのに平気で口に出してしまうのがダメだ。期待してしまうから。 どうしようかね、このまま終わったらきっとキースは私を忘れてしまうかもしれないから、何をしよう。 「何がいけなかったんだ?ダメなところがあったら直すから」 だから、どうか。 子犬のような瞳に罪悪感を感じたが、今さら引けるはずもなく、だからといって「キースが他の女の子と話すのがいや」なんて嫉妬深い汚い理由を口に出来るはずもなかった。 つまり私はプライドが高かったのだ。 つまらないプライドなんか捨ててしまえ。私はよくバーナビーにこう言っているけれど、まずは自分に言い聞かせるべきだったのかもしれない。 「命令を聞くだけのペットなんていらないんだよ」 そんなのつまらない。そんなのくだらない。 何より、命令なんか下したら責任は私がとらなければいけないじゃないか。ふふ、まあ、本当に。私は自分に甘すぎる。我が身が可愛すぎて他人を踏みにじる。 「ねえ、私はキースの自由なところが好きだったんだよ。私の言いなりになるキースなんて求めてない」 「だが私は名前に嫌われたくなくて」 「そういうとこ、いや」 思い出の中のキースがとても輝いて見えた。いつからだろう、気づいてしまったらもう戻れない。 悪いのは全部私、そんなことくらいわかっている、わかっていますとも。 「それでも名前はずっと私のものだぞ!」 「どうぞご自由に」 20110707 prev next back |