▼高尾
「高尾、お願いがあるんだけど」
「嫌な予感しかしないからいや」
「胸揉ませて?」
「………!!!は?はっ!?」
わたしは、期待した通りのリアクションを見せてくれた高尾にクスリと笑った。
男の胸なんて柔らかくもないしゴツゴツしているけど、高尾のだけは揉みたいと思った。
筋肉がついていて逞しい胸板は、純粋に魅力的だ。
「別に、面白くもねーだろ!」
「高尾のなら面白いよ。いいでしょ?」
そう問いかけると同時にわたしは高尾に飛びかかり、高尾もろともソファーにダイヴした。
聞いた意味ねーだろ!と高尾が叫ぶが、無視だ無視。
そのまま黒いVネックのぴったりとしたTシャツをめくりあげて胸まで手を伸ばすと、焦った高尾がわたしの腕を掴む。それに対し噛みついてやると、ようやく高尾は大人しくなった。
「…おれ、男だぜ?」
恐る恐るといった風に言う高尾だったが、そんなこととっくに知っている。それを告げれば、高尾はひきつった笑顔のままピシリと固まった。
「好きだから、いいでしょ」
「よくねーよ!明らかにおかしいだろ!普通逆だろ!」
「常識を持ち出して話し合うのは好きじゃないよ。ねえ、シャツを押さえる手を話してくれないとまた噛んじゃうよ」
「だ、だって…恥ずかしいだろ!なにが悲しくて彼女に胸揉まれなきゃなんないの!」
「いいじゃない、かわいいよ高尾」
もうこいつダメだ。高尾の目はそう物語っていた。
最初からそうしていれば良かったのに。
乳首を弄ると漏れ出した甘い声を聞いて驚いて高尾の顔を見ると、高尾も驚いていた。そして、次の瞬間にはボッと音が出そうなほど顔を赤く染め上げ、「今のナシ!」と叫ぶ。
だが、今さら無かったことになんてできるはずがない。
「高尾、すき」
胸を揉みながら耳元で囁くと、高尾も手で口を押さえながら「俺も、すっげー好き」と呟いた。
そんな高尾が一層愛しくて、今度は耳にかぶりついた。
20120908
back