短編 | ナノ
▼ヒソカ

「キミ、ちゃんとボクのこと好き?」
「好きなつもりではあるよ」


端正な顔立ちをしていて運動神経も良くて、性格はちょっと変わっているけど、そこがまた好きだと思う。思う、と言うのは、ただ単に私が「好き」という言葉の区別がつかないからであって、本当はヒソカのことが好きじゃないという気持ちがあるわけではない。
ちゃんと好き、だと思う。


「結婚はしたい?」
「したくない」
「なんで?」
「…」


結婚なんてしたら、ヒソカとしか結ばれないじゃない。そう言おうとした自分に吃驚した。

そうか、私は。

ヒソカは好き。でも、他の男の子たちも大好き。一人だけじゃ嫌で、裏切られたときの保険が欲しくて、いわゆる"キープ"と呼ばれるような存在をたくさん作っていた。否、裏切りなんてどうでもいい。私が一人に飽きたときの保険が欲しくて。


「ヒソカのことは大好きだけど、もしかしたらヒソカよりも大好きな人が現れるかもしれないから」
「…そっか◇」
「でも、ほんとうにあなたのこと大好きなんだよ。抱き着きたいしキスもしたいしセックスだってしたい。それがいつまで続くかわからないだけで」
「ボク以上の気紛れってコト?」
「私はいつだって終わるのがこわい。終わりっていうのはもしかしたらデートかもしれないし、告白かもしれない。はたまた、結婚かも。私はヒソカと終わりたくないのよ」
「…ふうん◇」


ニヤリとヒソカは笑った。
他の人は気味が悪いと言うけれど、私はいつ見ても綺麗な笑みだと思う。
溢れんばかりの狂気を孕んでいて、まるで芸術品のよう。多分、いくらヒソカの顔が良くても、この狂気がなかったらここまで深く付き合うことはなかっただろう。


「イイね………燃えてきたよ◇ボクも、簡単に手に入るような玩具には興味はないんだ◇」
「ありがとう。私があなたに飽きたら殺してもいいよ」
「やだね、ボクがキミに飽きたら殺してあげる◇」



20120504



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