「天馬は、もう少し育ったほうがいいと思う」

 あざやかなスカイブルーを刷り込んだ真剣な眼差しが、まっすぐに俺の目を見てくれていたならばあるいは身長のことかな?なんて幸せな夢を見ることが出来たのかもしれない。
 けれど残念ながら、整った涼やかな面差しが見つめる先には俺の貧相な胸しかない。他のものを見ているはず、とは思いがたいほどの至近距離で凝視されるそれに果たして何の魅力があるかはわからないが、俺の結論はひとつである。

「太陽、警察の番号わかる?」
「んー…177?」

 信じて掛けてみたら「明日は陽射しが燦々と降り注ぐ季節外れの良い天気でしょう」だなんて滔々と告げられた。ちょっと待って助けてお姉さん、1日早く俺の地味なコンプレックスに太陽さんからの視線が燦々と降り注いでますけどどうしたらいいですかほんと。

「…天気予報だったよ」
「あれ?じゃあ119?」

 ああそれはあながち呼ぶものは間違ってはいない、けれど、既に目的地に立っているのにこんな状況なのだ。あれ太陽ってなんの病気だっけ…なんて、違う意味で神妙になってしまう。

「ひょわああっ!」
「やっぱり…!育ったら絶対僕の理そぶへっ!」

 信じられない信じられない。いやまさか信じられない。なんの遠慮もなくわし掴まれた、貧相ながらも感覚のあるそこから熱を込めて昇る羞恥のまま眼下のオレンジをぶん殴ってから隙をつきナースコールを連打した。

 そのわずかまばたきの間、なぜか本来俺が呼んだはずの冬花さんより早く車椅子の車輪を軋ませ颯爽と現れてくれた優一さんに泣きつき事情を説明したら、危うく警察を呼ぶ羽目になりかけた、とだけここに記しておく。…今はそっとしておいてください。











(だって君は僕のもの!)




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