プロローグ
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遥か遠い昔のお話。エリンティタ大陸の北方の国バルトニアが、北の果てと呼ばれていた頃。人が住まうことを許さない厳しい自然の世界には、大地を統べる神々、御伽噺のような妖精や精霊、幻獣やエルフたちが存在していた。
そんな閉ざされた北の果てに、ある時一人の少年がその地の王になるべく降り立った。そしてその少年は誰もが不可能であろうと思われた偉業を成し遂げた。
人を拒み受け入れようとしなかった北の住人たちの心を開き、少年は四季が一回りするわずか一年という時間の中で、大地の祝福を受け北の王となった。
北の住人たちは少年を称え愛し、自らの力を彼の国に生きる者たちすべてに分け与えた。
それは遥か昔に魔法大国と呼ばれたバルトニアの創世記。
時が巡り、吟遊詩人たちに昔語りとされる北の大地の物語。
けれど薄れた親交の中でひっそりと、今でもその祝福は受け継がれていた。今も時折バルトニアでは大地の祝福を受けた子が生まれる。
大地の声を聴き大地の力を操る、人ならぬ者たちの自然の力【魔力】をその身に宿して。
魔力を持ち生まれた者は大地からの祝福の証しとして、生まれ落ちたその時からその身に大輪の華のように美しい痣が刻まれていた。
その証しを持つ者たちをバルトニアでは【
魔法使】と呼ぶ。
プロローグ・完
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