いまどうしても触れたくて仕方がなかった。なぜだかわからないけれど、藤堂のぬくもりを触れて確かめたかったのだ。僕が不安になってはいけないと、そう思ったはずなのに心が揺れる。 この時の不安がのちに大きな波紋を広げることを、僕はまだ知らない――。