「星屑の一つの気分ってどんな感じだろうね」
風が冷たい真冬の真夜中に。
バブルが崩壊して忘れ去られた貸しビルの屋上で彼女は呟いた。
「星屑ねぇ」
俺は煙草の煙を吐き出して空を見上げる彼女を見つめる。
藍色の空に輝く星
今掴んでる手すりがぐらついていて取れそうだなんて気にしていない彼女。
吐く息は白い。鼻の頭なんて赤色だ。
「ぁ冬の大三角」
彼女の指が空の星をなぞる
プロキオン、シリウス、ベテルギウス
見つめながらなんとなく白い指が寒そうだと思った。


「ねぇ、さむくねーの」
俺より薄着の彼女。
後ろから抱きしめたら冷たかった。
「寿は暖かいね」
「ヒャハ、あんたが薄着なんだろぉ」
なぁ此処であんたのこと犯してやろーか。って耳元で呟いて太腿を撫でると彼女はびくりと体を揺らした。
「嘘だって」
信じるなよ。そう言ってやれば彼女は安心したように笑った。


後ろから抱きしめたまま彼女の右手首を掴む。
沢山の切り傷。リストカット。別に非難する気なんてない。個性 ってやつだろ?
「重いよ寿」
笑う彼女。揺れる細い肩
「寿…?」
「別に、なんもねーよ」
彼女の首筋に頭をうずめながらなんとなく、いつか俺は彼女を好きすぎて殺してしまうだろうと思った


白い肌をしているあの子が17歳で
手首を切ったことを自慢気に話す
黄色い髪の男の頭には
狂った恋のメロディーが流れてたんだ


TMGE/ベイビー・スターダスト
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -