酒 ドラッグ 仕事 | ナノ



携帯でクロコダイルに犯された末期患者の画像を見ながら灰皿の上でサルビアをスモークする。
吸い込んで、吐き出す
静脈注射はやらない
飯が食えなくなる
すべてはそれだけの為
吐き気がするくらい簡単な事だ

女は何も言わずに琥珀色のスプマンテを一気に煽った
彼女気取りの勘違い女が残したバスタブを満たす程のスプマンテを

フルートにカメリア色が付く
綺麗に形の揃った象牙色の歯が見える
「鬱病?」
真っ黒な瞳が俺を射抜いた
真っ黒な女の瞳に映るのは死人のような俺
「…かもな」
「そう。貴方が鬱病なんて笑えるわね」
女は傍に置いていたハンドバッグに手を伸ばす。
絹のハンカチ クロエの香水 シャネルのリップ
さいごに出てきたのは鈍く光るデザートイーグルだった
「死にたくなったらどう?」
「はっ。いらねぇよ」
「死にたくなったら私に殺させてね」

あのダン・スミスを殺したなんて箔が付くからね。
そこまで言い切ると女は鈍く光るデザートイーグルを構えて笑った。

「冗談」
ゆっくりと降ろされるデザートイーグル
女は絹のハンカチでくるりと包んでそれをシャネルとクロエと一緒にまたしまい込んだ。

吸って、吐いて
サルビアは優秀だ
ギラギラした高揚感を染み込ませてくれる
仕事と同じだ
ギラギラした高揚感
スパークする天井
最高だ

「サルビア吸って仕事の真似事だなんて仕事人間なんだね」
満たされたフルートにまた口をつける
「あぁ天職だからな」
「それはよかった」
カメリア色の唇が綺麗な弧を描く
のを横目に見ながら口の中で弾ける炭酸をごくりと飲み込む
「貴方から仕事をとったら何になるの?」
「なぞなぞか?それは」
「さぁ?でも私も一緒」
「私、も?」
「私達から殺しをとったら何も残らない。残るとしたら、サルビアだけ」
長いまつげにいろどられた女の瞳と目が合う。
女の瞳に映った俺は真っ黒で化け物みたいだ。
「平和になったら困っちゃうねぇ」
「全くそれに関しては同意だな」
女が差し出したフルートと俺の持つフルートを軽く打ち鳴らす。
横目に見た窓ガラスに映った俺たちは真っ黒で化け物みたいだった。



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