恋人称号獲得しました/成神健也


俺がずっと前から先輩のことが好きだって知ってました?もちろん今だってそうですよ。現在進行形です。鈍感な先輩だから多分気づいてないでしょうけど。

実は前に1度だけ本気で好きです、と言ったことがある。こっちは真剣に言ったつもりだった。だけどキョトンとした顔の後で返ってきた言葉は「私もだよ。成神くんは私のかわいい弟みたいだし」だった。もうあの時は苦笑いしかできなかったのを覚えている。「…弟ですか。」そう言われたのは俺が後輩という立場だから?でも歳の差があるったって、たかが1歳しか違わないだけの話じゃないか。だけど先輩は俺のことを恋愛対象として見てくれていない。…俺はどれだけ頑張れば#name2#先輩に気持ちが伝わるんですか。それと、せめて可愛いじゃなくてかっこいいって言ってほしかったっス。はあ、と盛大にため息をついた。

「ため息ついたら幸せ逃げちゃうよー」
「せんぱい、」

クスクスと笑いながら俺の隣へ座った先輩は「悩みがあるなら私が聞いてあげるよ?」と言ってきた。「…悩みなんてないっスよ。」まさか先輩の事で悩んでるなんて本人を目の前にして言えるわけないじゃないっスか。そっけなく俺が答えた後に「ふーん…じゃあ、そんな成神くんに幸せのおすそ分け!」…という名目で先輩から飴をもらった。手の平にはイチゴ味の飴が乗っかっている。こんな些細なことでも嬉しかった。「ありがとうございます」先輩…、いい加減に俺の気持ちに気づいてくださいよ。俺はまだ先輩のこと諦めてないですから。

「…先輩は俺が後輩でよかったと思います?」

いつも#name2#先輩と対等に話せる先輩達を羨ましく思っていた。

「え?…うん、よかったと思ってるよ?」

先輩に恋愛対象として見られてないのはわかっている。それでも俺は先輩が、

「…先輩。好き、です」
「成神くん…?」

いよいよ先輩の顔が見れなくなった。今、先輩がどんな顔しているのかわからない。今すぐにここから逃げたくなった。「あ、…すみません、今の忘れてください」本当に先輩といると自分の感情が揺れる。先輩の隣から立ち去ろうとした。「…ねえ成神くん、私に返事はさせてくれないの…?」「え…」俺の制服の裾をぎゅっと掴んで消えそうな声で先輩は、

「私、も、成神くんが好き、だよ」

とぎれとぎれだけどはっきり聞こえた。それはなによりも聞きたかった言葉だった。

「前に成神くんに告白された時は本当に嬉しかった。だけど、あの時はすごい緊張しちゃっててあんなことしか言えなかったの…成神くんは私なんかが彼女でいいの…?」

気づいていなかったのは俺のほうだった。一人で悩んですげえバカみたいだ。「…俺は先輩がいいんです!」この日、大好きな先輩が恋人に変わった。


















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