1 会いたかった!
「どうも。ユフィ……です。」
その小柄な娘はニコリと笑みを作り、ハンジと握手を交わす。
「私は分隊長のハンジ・ゾエ。君が技術部の派遣員だね。若いのに腕がたつともっぱらの評判だよ。」
「どうも。」
紺色のつなぎを着込み、赤茶色の髪をざっくりとポニーテールにしたユフィは笑みを張り付けたまま、淡々と答える。
「ユフィ。今回の派遣では調査兵団における派遣技術部の設置の試験的な意味も含まれている。何か意見や要望があれば何でも言ってくれ。」
ユフィの隣に立つエルヴィンが彼女にそう言ったとき、ガチャリとドアが開いて部屋に仏頂面のリヴァイが入ってきた。
「あぁ、リヴァイ。今彼女を紹介してい「リヴァイ!?」
その場にいた幹部の全員が驚いた。
今まで会話の受け答えはするもののどこか心ここに在らずといった様子の彼女が、その名を聞いた途端に瞳をきらめかせてリヴァイの元に駆け寄ったのだから。
「あ?なんだてめ……近い!!」
ものすごい勢いで近寄るユフィが想像以上に距離を詰めてきてその顔が目と鼻の先に迫ろうとしたので、威嚇もそこそこに素早く彼女の額に手を突っ張った。
それにもめげずイキイキとした表情でユフィは口を開く。
「リヴァイ!会いたかった!ずっとずっと会いたかった!ねぇ服を脱いでよ。触らせて!」
「は……?」
リヴァイは口を半開きにし、部屋がしんと静まり返る。
「立体機動装置をあんなに使いこなせるのはリヴァイしかいない!その体に秘密があるの?ねぇ。地下で見かけたときからずっと知りたかったんだから!」
その言葉にリヴァイはぴくりと反応する。
「地下だと?てめぇ地下街出身なのか。」
イノシシのように尚もリヴァイに向かい続けようとするユフィを食い止めながら、彼は問う。
「うん。ねー同じ故郷のよしみで体見せてよー。」
「……何なんだこいつは。」
自分の肉体への興味を全面に押し出してくる彼女に向き合うのを止めて、彼はイラつきと戸惑いを混ぜた表情で幹部の面々を見る。
「技術者……もとい研究者、かな。」
一同が呆気に取られている中、シンパシーを感じたハンジが興味深そうに彼女を眺めて言った。
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