*届いて欲しいな:前編
『あけましておめでとう( ´ ▽ ` )ノ』
そう送ったのは2016年1月1日の0:01。
SNSというのは便利だ。こういう時、一緒に居れない人に、言いたいことが伝えられる。
遊木君はお仕事で、年越しを一緒には過ごせない。でも、年賀状やら年越しの挨拶やら。色々やったから、別に凄い寂しいというわけでもない。
冬休みの宿題は、あまり多くないのでもう終わっているし、おせち料理は作ったから、三が日は昔の女性と同じく、家事はしないでいいということだ。
心置きなく、S3に集中できる。
が、元旦くらいは、神社へ赴き神様へお願い事をする...祈りたいものだ。
一年の計は元旦にあり、と言いますし、御守りがあるだけで、救われるような気がする...なんて言ったら笑われちゃいますかね。
そんな風に誰かに語りかけるように笑って、ベッドに腰掛ける。
あ...意外と寂しいのかも。
ブーッ、ブーッ
「...あれ?メール...遊木君から?」
『明けましておめでとう!今年もよろしくお願いします!で、もし良ければ..初詣一緒に行かない?あ!勿論予定が合わなければ、僕のこと気にしなくて大丈夫だからね!』
なんていうか、遊木君らしいメールだなぁ..と思いつつ、実はあまり迷いのない頭を回す。
まあ、3秒後には『いいよ!一緒に行こう!』と打ち始めていたが。
そして私は送信を確認すると、スマホを充電器にさして息をついた。
部屋にあるカレンダーは、1日だけぽっかりと空いている気がする。強いて言えば色が付いている。
それを見た私は...一年の計は元旦にありっていうし、幸せにしたい人が隣にいた方が、神様に届くかな...なんて。
寂しさっていうのは、人を小さく弱くしてしまうらしいなぁ、って呟いて。
寂しさと寒さから逃げようとベッドに潜り込んで、私は眠りに落ちていった。
欲張りは、良くないことですね。
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