sit in the sun | ナノ

25-1


あれから3日が経った。
宍戸が正レギュラー落ちしてから。
そして、部活に姿を現さなくなってから。

「おい。」
「・・・何。」

朝練が終わり制服に着替え終わったみんなが次々と部室を出て行く中、跡部に声をかけられた。
声をかけるだけで続きを言わないので、私は侑士に先に教室に言ってと告げた。たぶん、私にだけ話したい事なんだなと思ったから。
そして部室にふたりだけになると、大きなため息を吐いて跡部が口を開いた。

「いい加減、機嫌直せ。」
「・・・別に、怒ってなんかいないし。」
「嘘をつくな。」
「嘘じゃない。部室閉めるから、早く出てよ。」

授業遅れるじゃん、と呟きながら鞄を手に取る。
ふと跡部を見ると、跡部もこっちを見ていた。

「・・・どうしたら、満足なんだ?」
「え?」
「アイツのロッカーがここにあったら良いのか?宍戸が戻ってきたら、それで満足なのか?」

その瞳のあまりの冷たさに、一瞬言葉が詰まる。

「・・・違う。私が言いたいのは、そう言う事じゃない。」

確かに宍戸が負けてレギュラー落ちしたのにはまだ納得してない。だからあれから毎日、私は監督に抗議をしている。宍戸をレギュラーに戻して下さいと。
けれど、氷帝の唯一無二のルールである敗者切り捨てが崩される事は無くて。
気が付けばもう3日が経っていた。

「じゃあ、何だ。」

だけど、それよりも納得していないのは・・・

「何で、そんなに普通なのよ。」

どうしてみんな、何も言わないのかってことだ。
だって、おかしいじゃん。
宍戸が居なくなったんだよ?
なのに、どうして何も無かったかのようにみんな過ごしてるの?
何で、普通に部活出来てるの?

「おかしいじゃない!宍戸が居なくなったっていうのに、なんでそんなに何事も無かったかのように部活が出来るの!?宍戸が、仲間が居なくなったんだよ!それなのに・・・」

それなのに、どうしてそんなに普通にしてられるの?

「おかしいじゃん・・・!」

キッと、跡部を正面から睨んだ。
目頭が熱い。視界がだんだん揺れてきた。
あぁ、こんな時に泣くなんて。
今すぐにでも後ろを向いて、涙を誤摩化してしまいたかった。
だけど私は、跡部から目は逸らさなかった。逸らしたら負けな気がしたから。
しばらく沈黙が続いた。
ピリピリとしたその空気を破ったのは、あまりにも予想外の跡部の一言だった。

「・・・言いたい事は、それだけか。」

たぶん、すごく間抜けな顔をしたと思う。
だって、頭が真っ白になったから。
跡部の言った言葉が、しばらく理解出来なくて動けなかったから。
ーーー言いたい事は、それだけかって


・・・何、それ。


「跡部、それ・・・」

本気で言ってるの?
そう言おうとした時、ガチャリと部室の扉が開いた。






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