sit in the sun | ナノ

17-1


「遅れてごめん。」

コートに急ぐと、まずベンチに座っている跡部のもとに行った。

「もう試合してる。これが対戦表だ。」

そうか、今日の午後は練習試合だって言ってたっけ。そう思い出しながら跡部に渡された対戦表を見た。
えっと何々?
初戦は・・・

「宍戸と海堂君か。」

そう呟いた瞬間、「ゲーム4-3!」と審判をしていた大石君がコールした。
おぉ、海堂君がリードか。

「しかし、面白い組み合わせだね。」
「あぁ、青学の乾に任せて正解だったな。」
「スピードでどんな球にも食らいつく宍戸のテニスと、粘り強い海堂君のテニスかぁ。」
「・・・映はどっちが勝つと思う?」


んーどっちが勝つか、かぁ。


「・・・宍戸、かな。」
「ほぅ、それはどうしてかな?」
「い、乾君!?」

突然後ろから声がしたと思ったら、乾君だった。
びびびびっくりした!
ってかものすごい逆光で怖いんですが!

「どうしてうちの海堂が負けると?」
「あーいや、その・・・。」

メガネをくいっとあげながら聞いてくる乾君。
うん、顔が暗くて良く見えないよ。怖いよ。すごく怖いよ。

「確かに海堂君の体力はすごいよ。相手を追いつめていくスネイクも切れが良いし。だけど・・・」

そう言ってチラッとテニスコートを見る。
するとちょうど宍戸が1ゲーム取ったところだった。

「自分の決め球をああも食らいつかれるのって、精神的にくるんだよね。自分じゃ気がついてないけど。」
「なるほど。だがそれだけでは海堂には勝てないよ。なんせあの決め球には・・・」
「じわじわと相手の体力を削っていく効果があるから、だよね?」

合ってる?と逆光の乾君を見れば、ほうと感心したかのような声を出された。

「気付いていたのか。」
「一応、ね。けど、それだけじゃ宍戸は負けないよ。」
「その自信はどこからくるんだい?」
「んー・・・」




「勘。」




ズバッと乾君の質問に答えた。
すると乾君は少し驚いてから、これは予想外の答えだな、なんて言って笑い出した。

「勘を舐めちゃいけないよ乾君。」

そう言った瞬間、ゲームセットアンドマッチ、ウォンバイ宍戸!6-4!と大きなコールがテニスコートに響いた。

「ほら、ね?当たったでしょ?」

そう言ってニヤリと笑うと、私は宍戸と海堂君のもとにドリンクとタオルを持って走っていった。
どうだ!私の野生の勘もなかなか鋭いだろう!




「・・・なかなか面白い子だね、平塚さんは。」
「あぁ。」
「データの取りがいがありそうだ。」






ゾクッ






「どうした平塚?」
「あ、いや何でもない。はい、タオルとドリンク。」






い、今なんか寒気が・・・。






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