sit in the sun | ナノ
16-1
「少しは落ち着いたか?」
「・・・うん、ごめん。」
泣き止んだのを確認すると、跡部は私をそっと離してくれた。
「「・・・。」」
何か、気まずい・・・!
「冷やすもん持ってくるからそこで待ってろ。」
「あ、うん。」
それだけ言って跡部は行ってしまった。
「ふぅ・・・。」
1人になって、思わずため息が出てきた。
・・・しかし、なんてことをしてしまったんだろう。
あの跡部に泣きついてしまうなんて。
ふ、不覚だ・・・!映一生の不覚だ!
だけど、跡部は何であんなことをしてくれたんだろう。
どうして、ずっと抱きしめてくれたんだろう。
私が離してと言っても、ずっと抱いていてくれた。
力強く、優しく。
うわっなんか思い出しただけで恥ずかしい!
絶対今顔赤いよ・・・!
「あーもう・・・。」
なんだか力が抜けてきて、私はその場に座り込んだ。
上を向くと、青空が広がっていた。
あぁ、ほんと良い天気だな。
私、これからどうしよう・・・。
「ジロー・・・」
誰に言うわけでもなく、思わず口からこぼれ落ちた。
「なぁに?」
すると、後ろから返事が聞こえた。
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