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悪戯




「こう爪と爪擦り合わせて、」
「爪?」
「そうそう。そうすると、甘い匂いが・・・」
「えっマジで?」
「えいっ」
「んぶっ」

仁王君に言われるがまま、私と切原君が爪を擦り合わせそしてその匂いを嗅ごうと手を顔の前に持ってくると、いきなりその手をバシリと叩かれた。
当然、顔の直ぐ目の前にあったその手は顔面へとぶつかった。
痛い、地味に痛い。

「仁王君!」
「プリッ」
「ぶふっ、今時まだこれに引っかかるやついるんだな。」
「丸井先輩、知ってたなら言ってくださいよ!」

同じく丸井君に顔面へと手を思いっきり叩かれた切原君は、少し赤くなった顔を思いっきり顰めて抗議していた。

「悪かったナリ。ほら、」

これでも食べて、機嫌直しんしゃい。
そう言って仁王君にガムを差し出された。

「あ、ありがとーーーー!!?!?」

スッと目の前に差し出されたガムを引こうとし指先に力を加えると、バチンッ!と指先に衝撃が走った。

「ッハハハハ!」
「先輩、なんてもん持ってるんすか・・・ックク、」
「仁王君ー!!!!!」

おもちゃのガムに見事に指を挟まれた私は、ムカッとして仁王君を思いっきり睨み付けた。
けど仁王君は飄々としていて、ただ楽しそうにニヤリと口角を上げていた。
む、むかつく・・・!!!

「まあまあ、そう怒りなさんな。」
「誰の所為だと!」
「仁王先輩ですね。」
「仁王だな。」

切原君と丸井君の突っ込みに、酷いぜよ・・・と仁王君が眉を下げて呟いた。
ていうか黙って私が騙されるの見てた丸井君と切原君も同罪だと思う。許さん。

「ほら、これやるから。」
そう言って、次に仁王君は小さな包みに入ったクッキーを差し出した。
が、しかし!もう騙されないから!

「そう何回も引っ掛かってたまるか!」
「なんじゃ、残念じゃのぉ。ほれ、ブンちゃん。」
「ん?サンキュー」

・・・あれ?また何か起こるんじゃ無いの?
クッキーの包みがバーン!って爆発したり、実は激辛クッキーでした!だったり。

「おっうめぇ」
「じゃろ?あーあ、これ食べないなんて勿体無いのぉ。」
「うっうわあぁぁあ汚いぞおおぉぉ!」

その後、あまりに私が凹むのをみて可哀想に思ったのか丸井君から少しクッキーを分けてもらいました。

「悪戯のやり甲斐があったのぉ。」
「いつか絶対やり返してやる・・・」
「ピヨッ」






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