「秋刀魚に赤ワインはねえだろ」 「ビールだって元を質せば肉料理向けだろうが」 「何だよその理屈」 「だからそもそもビールは洋酒で」 「解った解った何となく解ったから食わせろ」 「あ、料理酒あったわ」 「遅ェよ先に出せ」 「飲むかー?」 「もういい赤開けちまったし」 「ああ料理酒ちょっとしかなかった、昨日割と飲んじまったからな」 「昨日のアテ何だ」 「あー……っと、あ、スーパーで売ってたローストビーフ」 「そっちのがよっぽど赤向けだろうが!」 「だってお前と一緒にワイン飲みたかったから」 「は、」 「って言ったら許してくれるか」 「……お前どこからが計算なんだよ」 「うるせえなたまには騙される側に回れ」 「ハイハイ解りました」 「人の話聞いて――あ、秋刀魚」 「焼く準備出来たか」 「いやこれから煮る」 「煮る!?」 ちぐはぐな会話を肴に 「片目だけに煙しみると辛いと思ったから」「今思いついたにしちゃ上出来だ」「……そこは騙されろよお前」 * * * 長く置きすぎたのでさすがに下げました |