3 | ナノ




「そこじゃアァァァ!!」

二度目の襲撃は割れてガラスの外れている窓から飛び込んで来た。また俺かよ人違いいや標的違いだと頭を過ぎったが言葉に出来る時間も余裕もなく、土方は坂田らに押しつけられた万能ネギを咄嗟に投げつけた。結果万能ネギは襲撃者の顔をばさりと覆う。

「うおぉッ何じゃコレは!? おおお前が見えん! 髪に絡まる! くさい!」
「すげえな万能ネギは不審者撃退に使えんのか。メモっといてヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。早速新たな可能性が発見出来たな」
「というわけで副会長、コレがうちの部長。坂本」
「……」

ツッコミが追いつかない。
窓から侵入し顔に万能ネギを投げつけられカラフルな(七色のペンキで塗り尽くされていると今気づいた)床に尻から転んだ不審者呼ばわりされた生徒を見下ろして土方は精神がやせ細る感じを覚えながら長い長い溜息を吐いた。

「辰馬起きろ。副会長が用あるってよ」
「おお、えーと確か土方とやらか、何ぞ知らんがこんなとこまでご足労感謝ぜよアッハッハッハ」
「俺達チームJOYを潰しに来たらしい」
「……今すぐ潰すとは言ってない」

同時に土方は、彼らの思惑を理解した――理解して仕舞った。察するにこの部の長を務めているらしい生徒は、右手に先程の太刀魚同様冷凍された秋刀魚を握っている。取り落とされたのか左手のあたりにももう一尾の秋刀魚。己の順応性にもはや呆れるばかりだ。

「……。太刀魚と秋刀魚、戦わせたらどっちが強いか、か?」
「厳密にはどっちがより武器になるかの実験じゃ。リーチの問題上ハンデとしてワシの秋刀魚は二刀流にさせてもろたぜよ」
「秋刀魚も刀って字が入っているだろう」
「胸張って言うことじゃねえだろオォ!!」
「ちょっ辰馬こっち寄んないでくんないネギくさい」
「アッハッハッハ泣いていい?」





エピソード・3
秋刀魚は明日の昼ごはん





ちょっとみじかめ
まだ続くのか?
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -